足はどうしてしびれるの?

公開:2026-09-11 更新:2026-09-11 読了 約6分

図解

1 STEP 1 正座で足がおさえつけられる 2 STEP 2 末梢神経にゆく血流が不足する 3 STEP 3 神経に異常な電流が流れ、脳に伝わる(しびれ) 4 STEP 4 正座をやめ、血流が回復する 5 STEP 5 細胞から活性酸素が発生する 6 STEP 6 皮膚近くの感覚神経が刺激される(ビリビリ)

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

足を長くおさえると神経への血のめぐりが足りず、変な信号が出るから。

正座せいざを長く続けると、足がジーンとしびれて立てなくなりますね。あれは足がこわれたわけではありません。神経しんけいと血のめぐりの、一時的なトラブルなのです。

弘前大学ひろさきだいがく医学いがくの先生の解説かいせつによると、正座で足をおさえつけると、足の先までびている「末梢神経まっしょうしんけい」に行く血のめぐりが足りなくなります。すると神経に異常いじょうな電気の流れが起きて、その情報じょうほうのうに伝わり、「しびれ」として感じるのです。

正座をやめたあとの、あのビリビリはどうしてでしょう。血のめぐりがもどると、細胞さいぼうから「活性酸素かっせいさんそ」というものが出て、皮ふの近くの感覚かんかくの神経を刺激しげきします。それがビリビリしたしびれの正体です。京都大学の研究では、この活性酸素を感じ取る神経のセンサーが、しびれのいたみに関わることが分かりました。

つまり、しびれは「血が足りないよ」「血がもどったよ」という体からの知らせなのです。しびれたら、あわてて立たずに、足をのばして血のめぐりがもどるのを待ちましょう。

もし何もしていないのに長くしびれが続くときは、大人に伝えて、お医者さんに相談してくださいね。

正座のしびれは、神経の圧迫と血流不足の合わせ技である。弘前大学大学院医学研究科の若林孝一教授による解説では、正座によって末梢神経にゆく血流が不足し、神経に異常な電流が流れ、この情報が脳に伝わってしびれとして感じると説明されている。

面白いのは、正座を解いた後のビリビリが別の仕組みで起きる点である。同じ解説によれば、血流が回復すると細胞から発生した活性酸素が皮膚近くの感覚神経を刺激し、ビリビリしたしびれを感じる。京都大学は2016年、血流が一定時間止まった後に再開すると大量の活性酸素が発生することを踏まえ、しびれによる痛みのメカニズムを解明したと発表している。活性酸素を感知する感覚神経のセンサーが、その鍵だった。

なお国立長寿医療研究センターの解説にあるように、神経の経路が圧迫されたり末梢神経全体が障害されたりして起きるしびれもある。長く続くしびれは正座とは別の話だ。

仕組みの科学

正座によるしびれは、二つの段階で起きる。第一段階は圧迫されているあいだのしびれだ。弘前大学大学院医学研究科の若林孝一教授の解説によれば、正座では末梢神経にゆく血流が不足し、神経に異常な電流が流れる。神経は血液から酸素と栄養を受け取って信号を伝える組織であり、血流が不足すると正常な信号を保てなくなる。この異常な電流の情報が脳に伝わり、私たちはそれをしびれとして感じる。

第二段階は圧迫を解いた直後のビリビリである。同じ解説によれば、血流が回復すると細胞から発生した活性酸素が皮膚近くの感覚神経を刺激し、ビリビリしたしびれを感じるようになる。京都大学が2016年に発表した研究は、この過程を分子のレベルで説明した。血流が一定時間止まった後に血流が再開すると、大量の活性酸素が発生することが知られており、この活性酸素を感じ取る感覚神経のセンサーがしびれによる痛みに関わっていることを解明したのである。

つまり、正座のしびれは「血流が減る」ことと「血流が戻る」ことの両方で感覚が乱れる現象だ。減っているあいだは神経が異常な信号を出し、戻った瞬間には活性酸素が神経を刺激する。どちらも神経が壊れたわけではなく、血流の変化に対する一時的な反応である。だからこそ、足を伸ばして血流が落ち着けば、しびれは自然におさまるのだ。

歴史と発見

正座のしびれは日本人にとって身近な現象で、長いあいだ「血が止まるから」という素朴な説明で理解されてきた。その説明は方向としては正しかったが、神経の中で何が起きているのか、なぜ解いたあとにビリビリするのかは、神経の電気活動を測れるようになるまで分からなかった。末梢神経が血流の不足に敏感であること、そして血流が戻る瞬間に別種の刺激が生じることは、神経生理学の発展とともに整理されてきた。

転機となったのが活性酸素の役割の解明である。京都大学が2016年に発表した研究は、血流が一定時間止まった後に再開すると大量の活性酸素が発生することに注目し、しびれによる痛みのメカニズムを解明した。活性酸素を感じ取る感覚神経のセンサーが、しびれの痛みを引き起こす経路として特定されたのである。正座のあとのビリビリという日常的な体験が、分子の言葉で説明できるようになった瞬間だった。

この研究には、糖尿病や血流障害によるしびれの理解につながるという広がりもある。弘前大学の解説でも、血流が回復すると細胞から発生した活性酸素が皮膚近くの感覚神経を刺激するという同じ筋道が、子ども向けの質問への回答として紹介されている。研究の最前線と教室の疑問が、同じ一つの仕組みでつながっているのである。

もう一歩先

正座のしびれは一時的で無害だが、しびれという症状そのものは、体の別の場所の出来事を映すこともある。国立長寿医療研究センターの解説によれば、しびれは神経の経路が圧迫されたり、糖尿病やアルコール、薬物などで末梢神経全体が障害されたりして起きることがある。手首で正中神経が圧迫される手根管症候群のように、原因の場所が特定できる場合もあり、診断には神経伝導速度検査などの検査が使われる。正座のしびれとの違いは、原因が取り除かれてもしびれが続くかどうかにある。

ここから学べるのは、同じ「しびれ」という感覚でも、体が伝えようとしている内容が異なるということだ。正座のしびれは「血流が減った・戻った」という短い報告で、足を伸ばせば解決する。一方、何もしていないのに長く続くしびれは、神経のどこかに続いている出来事の報告であり、専門家に相談すべき合図になる。感覚の意味を読み分けることが、体との付き合い方の基本だ。

家庭でできる観察としては、正座で足がしびれ始めるまでの時間と、立ち上がれるようになるまでの時間を記録してみるとよい。座り方や足の組み方でどう変わるかを比べれば、圧迫と血流の関係を体で確かめられる。ただし、しびれを我慢して長く座り続けることはすすめない。しびれは体からの知らせであり、知らせが来たら姿勢を変えるのが正しい応答なのだ。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 正座で足がしびれる直せつの理由は?
こたえ:神経に行く血のめぐりが足りなくなる
本文にあるとおり、正座で足をおさえつけると末梢神経に行く血のめぐりが足りなくなり、神経に異常な電気の流れが起きて、その情報が脳に伝わってしびれとして感じます。骨が曲がるわけではありません。
Q2. 正座をやめたあとのビリビリのもとになるのは?
こたえ:活性酸素
本文にあるとおり、血のめぐりがもどると細胞から活性酸素が出て、皮ふの近くの感覚の神経を刺激します。それがビリビリしたしびれの正体です。京都大学の研究では、活性酸素を感じ取る神経のセンサーがしびれの痛みに関わることが分かりました。
Q3. 足がしびれたとき、まずどうするのがよい?
こたえ:足をのばして血のめぐりがもどるのを待つ
本文にあるとおり、しびれは血が足りない、血がもどったという体からの知らせです。あわてて立たずに足をのばして血のめぐりがもどるのを待ちましょう。すぐに走ると転びやすく、長く正座を続けるのもすすめられません。

👤 大人のちょっとした雑学

しびれは「壊れた」ではなく「足りない」の信号

弘前大学の若林孝一教授の解説によれば、正座では末梢神経にゆく血流が不足し、神経に異常な電流が流れ、その情報が脳に伝わってしびれとして感じる。神経が損傷したのではなく、血流不足という状態が信号になっているのだ。

ビリビリの犯人は活性酸素

同じ解説によれば、血流が回復すると細胞から発生した活性酸素が皮膚近くの感覚神経を刺激し、ビリビリしたしびれを感じる。圧迫中のジーンと、解放後のビリビリは、別の仕組みで起きる別のしびれなのである。

京大が2016年に解明したセンサー

京都大学は2016年、血流が一定時間止まった後に再開すると大量の活性酸素が発生することを踏まえ、しびれによる痛みのメカニズムを解明したと発表した。活性酸素を感じ取る感覚神経のセンサーが、正座のあとの痛みの鍵だった。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 人体のふしぎ図鑑(児童向け・神経と血液の章)
    神経が脳と手足をつなぐ配線であり、血液がその配線に酸素を届けているという全体像をまず持つ。しびれの話はこの二つの関係から始まる。
  2. 生理学の入門書(神経の興奮と感覚の章を中心に)
    神経が電気信号で情報を伝えること、血流不足で信号が乱れることを学ぶ。弘前大学の解説にある「異常な電流」の意味がここで分かる。
  3. 神経科学の標準教科書(体性感覚と痛覚の章)
    感覚神経の受容体という考え方に出会い、活性酸素を感じ取るセンサーがなぜ痛みを生むのかを理解する。京都大学の研究の位置づけが見える。
  4. 末梢神経障害に関する臨床神経学の専門書
    圧迫や代謝の障害で起きるしびれを体系的に学び、正座のしびれとの違いを診断の視点から整理する。

さらに進む方向

  • 活性酸素を感知する感覚神経の受容体と、虚血再灌流にともなう感覚異常の分子機構の研究
  • 圧迫による末梢神経の伝導障害を、神経伝導速度や血流測定で定量する神経生理学的研究
  • 糖尿病性末梢神経障害などの慢性的なしびれと、一過性のしびれの機序を比較する臨床神経学
  • しびれや痛みの主観的な感覚を、脳活動の計測と対応づける感覚神経科学

もっと詳しく:しくみのながれ

  1. STEP 1
    正座で足がおさえつけられる
  2. STEP 2
    末梢神経にゆく血流が不足する
  3. STEP 3
    神経に異常な電流が流れ、脳に伝わる(しびれ)
  4. STEP 4
    正座をやめ、血流が回復する
  5. STEP 5
    細胞から活性酸素が発生する
  6. STEP 6
    皮膚近くの感覚神経が刺激される(ビリビリ)
  7. STEP 7
    血流が落ち着き、しびれがおさまる

ことばのメモ

末梢神経
脳から手足へ伸びる神経
血流
血が体の中を流れること
活性酸素
細胞から出る刺激の強い酸素
感覚神経
痛みや触った感じを伝える神経

よくある質問

正座でしびれるのはなぜ?
弘前大学の解説によると、正座で末梢神経にゆく血流が不足し、神経に異常な電流が流れ、その情報が脳に伝わってしびれとして感じるためです。
立ち上がったあとのビリビリは何?
血流が回復すると、細胞から発生した活性酸素が皮膚近くの感覚神経を刺激するためです。京都大学の研究で、活性酸素を感じ取る神経のセンサーが関わることが分かりました。
しびれた足は動かしていいの?
無理に立つと転びやすいので、まず足を伸ばして血のめぐりがもどるのを待ちましょう。しびれは血流の変化に対する一時的な反応で、自然におさまります。
何もしていないのにしびれるときは?
国立長寿医療研究センターの解説では、神経の圧迫や末梢神経の障害で起きるしびれもあるとされています。長く続くしびれは大人に伝え、お医者さんに相談してください。

学びのタネ

この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。

家でできること

  • 正座を始めてから足がしびれ始めるまでの時間を、座り方を変えて3回はかり、ちがいを記録してみよう。
  • 弘前大学の「ひろだい探偵団」の質問コーナーを読んで、体についてのほかの疑問と答えを探してみよう。
  • しびれがおさまるまでに足をどう動かすとはやいか(伸ばす・さする・じっとする)を家族でくらべてみよう。

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出典・参考文献

  1. 弘前大学 研究・イノベーション推進機構ひろだい探偵団 質問コーナー#008 参照 2026-09-11
  2. 京都大学「しびれ」による痛みのメカニズムを解明 参照 2026-09-11
  3. 国立長寿医療研究センターしびれの原因は?(健康長寿ナビ) 参照 2026-09-11

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