図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
108は人の心をまよわせる「煩悩」の数とされるから。
大みそかの夜、お寺から「ゴーン」と鐘の音が聞こえてきます。これが除夜の鐘です。除夜とは、古い年を除く夜という意味で、1年の最後の夜のことをいいます。
鐘は108回つかれます。108は、人の心にある「煩悩」の数だといわれています。煩悩とは、欲ばる気もちや、人におこる気もちなど、心をまよわせるもののことです。
鐘の音で煩悩をはらいます。そして、きれいな心で新しい年をむかえようという習わしなのです。
ただ、108になる数え方には、いくつもの説があります。たとえば、一年の12か月と24の季節の区切りを考えます。そこに72のもっとこまかい区切りを足すと、108になります。暦から生まれた、という説です。「四苦八苦」という言葉から、4×9+8×9=108と計算する説もあります。仏教では、108の玉がついた数珠も使われます。
鐘は夜中の0時をはさんでつかれます。最後の108回目は新しい年の最初につく、と書いた本もあります。でも、つき方はお寺や地方によってちがうそうです。
除夜の鐘の108は「百八煩悩」、つまり人間のすべての煩悩を数え上げた数とされる。ただし国立国会図書館のレファレンス協同データベースに登録された相模大野図書館の調査によれば、その数え方には諸説あり、主なものだけで4種類ある。『岩波仏教辞典』は、一般には見道と修道で断つべき98の煩悩に随煩悩の中の十纏を加えたものとし、中国では節気と結び付けた説明もなされたと記す。『名数数詞辞典』も異説として、十二カ月・二十四節気・七十二候に応ずる数だと紹介している。12+24+72=108という暦の足し算だ。児童書には四苦八苦から4×9+8×9=108とする説も載る。『岩波仏教辞典』は百八の数珠を用いるのもこの百八煩悩を断ずるためとしており、108は鐘だけの数字ではないのだ。
仕組みの科学
108という数は、いくつもの数え方で同じ答えにたどり着く。レファレンス協同データベースに登録された岡山県立図書館の回答によれば、子ども向けの行事の本だけでも説明はさまざまだ。ある本は、煩悩の数が108になる計算のもとになる「六根」「三不同」「感じ方の程度」「三世」を図で示している。別の本のコラムは、「四苦八苦から4×9+8×9=108」「1年をあらわす12か月、24節気、72候から12+24+72=108」「仏教で人の煩悩は108あるとされることから(数え方はさまざまあります)」という三つの説を並べる。どれか一つを正解とするのではなく、仏教の煩悩の数え方と、一年を細かく区切る暦の考え方が、108という同じ数に重ねて語られてきたのである。鐘の音そのものにも科学がある。豊中市立図書館の調査が引く『仏具大事典』によれば、梵鐘は形と環境で音色が変わり、高地の鐘は重く造って「ゴーン」、平地の鐘は軽く造って「カーン」という音が良いとされる。銅を解説した本によれば、音色に最も影響するのは素材の合金組成で、東洋の梵鐘は錫が約8〜12%の青銅が多く低く響き、西洋のベルは錫が約20%の青銅でかん高く響く。
歴史と発見
「除夜の鐘はなぜ108回なのか」という問いは、図書館に繰り返し寄せられてきた。レファレンス協同データベースには、相模原市立相模大野図書館が「108の根拠が知りたい」という質問に答えた記録が2016年に登録されている。図書館は仏教関連の参考図書の棚を調べ、『岩波仏教辞典 第二版』(2002年)、『新版 仏教哲学大辞典』(1986年)、『総合佛教大辞典』(1987年)、『名数数詞辞典』(1980年)の4冊から記述を拾った。その結果、辞典類が挙げる3種類の説はほぼ同じ内容で、これに中国思想の節気と結び付けた説を合わせて、主な説は4種類あると整理した。『岩波仏教辞典』の「除夜の鐘」の項は、鐘をつく目的を「百八煩悩を除去し清浄な新春を迎えるため」と説明しながら、「ただし煩悩の数え方は多様である」とも書き添えている。子ども向けの本にも同じ問いへの答えは多い。ある本は除夜を「古い年が押しのけられる夜」と説明し、107回目を「最後の宣命」、新年の最初につく108回目を「最初の警策」と紹介している。由来を一つに決めつけず、複数の説を並べて示すことが、この問いに誠実に答える方法なのだ。
もう一歩先
除夜の鐘のつき方は、実は全国で一律ではない。豊中市立図書館が「除夜の鐘の音が宗派によって違うというのは本当か」という質問を調べた記録によれば、梵鐘の種類や撞き方が宗派によって違うという記載は見当たらず、市内のいくつかの寺院への問い合わせでも違いはないとの答えだった。ただし鐘をつきながら唱える詩句には、宗派による違いがあるようだという。同じ記録が引く『仏具大事典』には、曹洞宗では108声もしくは18声を「鳴鐘の偈」を唱えつつ鐘司が打つこと、日蓮宗では除夜の鐘を108打つことが記されている。浄土宗の公式サイトは、年をまたいで108つ打つことには諸説があり、地方や寺院によって一定ではないと説明している。市内の寺院の中には、除夜の鐘を参拝者が自由に撞いているところもあった。また梵鐘の音は、鐘楼の近くに竹やぶがあると遠くまで届きにくいなど、周りの環境にも大きく左右される。108という数は広く共有されながら、その鳴らし方は寺と地域ごとに受け継がれてきたのである。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 「除夜」とはどんな意味?
Q2. 108は何の数だといわれている?
108は、人の心にある煩悩の数だといわれています。煩悩とは、欲ばる気もちや人におこる気もちなど、心をまよわせるもののことです。鐘の音で煩悩をはらい、きれいな心で新年をむかえます。
Q3. 12か月と、24の季節の区切りと、72のこまかい区切りを足すと、いくつになる?
12+24+72を計算すると108になります。一年を細かく区切る暦の数を足すと108になる、という説もあるのです。108になる数え方には、このようにいくつもの説があります。
👤 大人のちょっとした雑学
12+24+72=108の暦説
『名数数詞辞典』は百八の鐘について、異説では十二カ月・二十四節気・七十二候に応ずると紹介している。煩悩ではなく一年の区切りを足した数だという見方だ。
数珠も108
『岩波仏教辞典』は、百八の鐘をつくのも百八の数珠を用いるのも、百八煩悩を断ずるためだと説明している。108は鐘だけの数字ではない。
鐘の音色は錫の割合で変わる
東洋の梵鐘には錫が約8〜12%の青銅が多く使われて低音に響き、西洋のベルは錫が約20%の青銅でかん高く響くという。同じ青銅でも配合で音が変わる。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 日本の年中行事の絵本・図鑑(児童向け・12月の章)
大みそかと除夜の鐘、年越しの行事を全体の流れの中でつかむ段階。108の説が本によって違うことにもここで気づける。 - 仏教辞典(「除夜の鐘」「百八煩悩」の項)
見道・修道・十纏など煩悩の数え方の用語を確かめる。図書館の調査が引いた記述を自分で原典に当たって読める。 - 暦と季節の入門書(二十四節気・七十二候の章)
暦の説の土台になる一年の区切り方を学ぶ。中国思想の節気と結び付けた説明がどこから来たのかが見えてくる。 - 梵鐘と仏具の専門書
鐘の形・大きさ・合金組成と音色の関係、宗派ごとの鳴らし方の作法を学ぶ。行事を音と道具の側から理解できる。
さらに進む方向
もっと詳しく:くらべてみる
- 煩悩の説見道と修道で断つ98の煩悩に十纏を加えて108
- 暦の説12か月+二十四節気+七十二候=108
- 四苦八苦の説4×9+8×9=108(児童書のコラム)
- 掛け算の図六根・三不同・感じ方の程度・三世を組み合わせる
ことばのメモ
- 除夜
- 古い年を除く夜。大みそかの夜
- 煩悩
- 心をまよわせる欲や怒りなど
- 梵鐘
- お寺の大きなつりがね
- 二十四節気
- 一年を24に分けた季節の区切り
- 七十二候
- 一年を72に分けたこまかな季節
よくある質問
108の由来はひとつに決まっていますか?
108回目はいつつくのですか?
宗派によって鐘の音はちがうの?
108はほかでも使われていますか?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 12+24+72を計算して、暦の説で本当に108になるか、たしかめてみよう。
- 大みそかに近くのお寺の鐘の音を聞いて、何時ごろからつき始めるか記録してみよう。
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出典・参考文献
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(相模原市立相模大野図書館)除夜の鐘で108回鐘を突くが、108の根拠が知りたい。 参照 2026-10-07
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(岡山県立図書館)除夜の鐘をなぜ108回鳴らすのかを紹介している児童書が見たい。 参照 2026-10-07
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(豊中市立図書館)除夜の鐘の音が宗派によって違う、という話を耳にしたが本当か。 参照 2026-10-07
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
除夜とは、古い年を除く夜という意味で、大みそかの夜のことです。この夜にお寺で鐘を108回つくのが除夜の鐘です。古い年をおくり、新しい年をむかえる大切な夜なのです。