図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
根もとで幹細胞が新しい細胞を作り、古い細胞を外へ押し出すから。
髪の毛も爪も、切ってもまたのびてきますね。どうしてのび続けるのでしょう。ひみつは、目に見えない「根もと」にあります。
日本医療研究開発機構の解説によると、髪の毛の根もとには「毛包幹細胞」という細胞があります。幹細胞は、自分と同じ細胞を作って数を保ちながら、毛を生やす「毛母細胞」を供給しています。いわば細胞の工場です。工場で新しい細胞がどんどん作られ、古い細胞が外へ押し出されていく。それが「のびる」ということなのです。
爪も同じ仕組みです。北海道大学の研究によると、爪は「爪幹細胞」の細胞分裂と分化によってのびていて、体全体の状態のえいきょうを受けます。
おもしろいのは、外に出ている髪や爪は、もう生きた細胞ではないことです。日本皮膚科学会の論文では、爪は皮ふの角質の細胞と髪の毛の細胞の両方の性質を持つとされています。かたく変化した細胞だから、切っても痛くないのですね。
髪の毛は、ずっとのび続けるわけではありません。毛包は生えかわりをくり返していて、幹細胞が周期的に目をさますことで、毛は周期的に生えかわるのです。
髪と爪は「死んだ細胞の列」であり、伸びているのは根もとの工場だ。日本医療研究開発機構(AMED)の解説によれば、毛包幹細胞は自己複製によって幹細胞プールを維持しながら、毛を生やす毛母細胞を供給している。毛母細胞が分裂して作った細胞が角化して押し出されたものが、私たちの見ている髪である。
爪も同じ論理で伸びる。北海道大学の研究は、爪が爪幹細胞の細胞分裂と細胞分化により伸び、全身状態の影響を受けると述べている。日本皮膚科学会雑誌の論文では、爪は皮膚角質細胞と毛髪構成細胞の角化特性を併せ持つ興味深い組織だと評されている。
そして髪は永遠に伸びるわけではない。AMEDの解説にあるように、毛包幹細胞を周期的に活性化し、毛包の再生と退縮を反復することで毛は周期的に生え変わる。東京大学医科学研究所の研究は、毛包幹細胞の分裂のタイプの違いが毛包の再生と老化を決めることを見いだしている。
仕組みの科学
髪の毛が伸びる仕組みの中心は、毛包と呼ばれる皮膚の中の器官にある。日本医療研究開発機構(AMED)の解説によれば、毛包幹細胞はバルジ領域と呼ばれる場所に存在し、自己複製によって幹細胞プールを維持しながら、毛を生やす毛母細胞を供給している。幹細胞が自分自身のコピーを作り続けることで工場の従業員が減らず、そこから送り出された毛母細胞が分裂して毛の材料となる細胞を作る。作られた細胞は角化して硬くなり、次々に上へ押し出されていく。これが「伸びる」という現象の正体である。
爪の仕組みも骨格は同じだ。北海道大学の研究によれば、爪は爪幹細胞の細胞分裂と細胞分化により伸び、全身状態の影響を受ける。爪の根もとにある細胞が分裂し、分化して硬い爪の板になり、指先へ向かって送り出される。日本皮膚科学会雑誌に掲載された爪母組織の研究は、爪が皮膚角質細胞と毛髪構成細胞の角化特性を併せ持つ興味深い組織だと述べている。爪は皮膚の延長でありながら、髪と共通する硬さの作り方を持っているのである。
重要なのは、外に出ている髪や爪は角化を終えた細胞であって、もはや分裂も代謝もしていないという点だ。だから切っても痛くないし、切った先が再生することもない。伸びるのは常に根もとであり、私たちが見ている長さは、根もとの工場がこれまでに送り出した細胞の記録なのである。
歴史と発見
髪が根もとから伸びること自体は昔から知られていたが、根もとで何が起きているかを細胞の言葉で説明できるようになったのは、顕微鏡による組織観察と、幹細胞という概念の確立を待ってからである。毛包の中に、分裂して毛の材料を作る毛母細胞と、それを供給し続ける幹細胞という役割分担があることが分かり、髪の伸びは「幹細胞から始まる細胞の流れ」として理解されるようになった。
近年の研究は、この幹細胞の振る舞いをさらに細かく解き明かしている。東京大学医科学研究所が2021年に発表した研究によれば、毛包幹細胞が発現するXVII型コラーゲンは、細胞極性たんぱく質として知られるaPKCλの発現を維持することによって、再生型の幹細胞分裂を促進する。幹細胞がどのように分裂するかというタイプの違いが、毛包の再生と老化を決定づけるというのがこの研究の核心だ。
同じ2021年には、AMEDが高脂肪食などによる肥満が薄毛を促進するメカニズムに関する研究成果を発表している。その解説には、毛包幹細胞を周期的に活性化し毛包の再生と退縮を反復することで毛が周期的に生え変わる、という毛周期の基本が整理されている。髪が伸び続けるように見えて実は生え変わっているという事実は、幹細胞の周期的な活性化という仕組みで説明されるようになったのである。
もう一歩先
髪と爪が伸び続けることは、体の中で幹細胞が休まず働いている証拠でもある。AMEDの解説にあるように、毛包幹細胞は自己複製で幹細胞プールを維持しながら毛母細胞を供給し、周期的に活性化して毛包の再生と退縮を反復する。この周期があるからこそ、髪は一定の長さで抜け落ちて新しい毛に置き換わり、頭全体としては毛の量が保たれる。伸び続ける髪は、実は絶えず入れ替わっている髪なのだ。
爪については、北海道大学の研究が興味深い視点を与えている。爪は爪幹細胞の細胞分裂と細胞分化により伸び、全身状態の影響を受けるという。冬眠する動物を調べたこの研究のように、体全体の状態が根もとの細胞の働きに反映されるとすれば、爪や髪は体の内側の記録でもあることになる。日本皮膚科学会雑誌の論文が爪を、皮膚角質細胞と毛髪構成細胞の角化特性を併せ持つ組織と評したことも、爪が皮膚と髪をつなぐ位置にあることを示している。
家庭でできる観察としては、爪の根もとに近い部分に小さな印をつけ、その印が指先へ移動していく速さを週ごとに記録するとよい。伸びているのは先端ではなく根もとだという事実を、自分の指で確かめられる。髪も同じで、染めた髪の根もとから元の色が現れてくるのは、根もとの工場が新しい細胞を送り出し続けている何よりの証拠である。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 髪の毛がのびるのはどこで細胞が作られるから?
Q2. 外に出ている髪や爪についてただしいのは?
本文にあるとおり、外に出ている髪や爪はかたく変化した細胞で、もう生きた細胞ではありません。だから切っても痛くないのです。血が通っているわけでも、外の部分が生まれかわるわけでもありません。
Q3. 髪の毛についてただしいのはどれ?
本文にあるとおり、毛包は生えかわりをくり返していて、幹細胞が周期的に目をさますことで毛は周期的に生えかわります。一生同じ毛がのび続けるわけではなく、ぬけたあとには新しい毛が生えてきます。
👤 大人のちょっとした雑学
幹細胞は「自分のコピー」と「毛の材料」を同時に作る
AMEDの解説によれば、毛包幹細胞は自己複製によって幹細胞プールを維持しながら、毛を生やす毛母細胞を供給している。工場の従業員が減らないように自分を増やしつつ、製品も作る。この二重の仕事が、髪が何十年も伸び続ける理由だ。
分裂の「型」が毛包の老化を決める
東京大学医科学研究所の2021年の研究によれば、毛包幹細胞が発現するXVII型コラーゲンは、細胞極性たんぱく質aPKCλの発現を維持することで再生型の幹細胞分裂を促進する。幹細胞がどう分裂するかの違いが、毛包の再生と老化を決定づけるのだ。
爪は皮膚と髪のハイブリッド
日本皮膚科学会雑誌の論文は、爪を皮膚角質細胞と毛髪構成細胞の角化特性を併せ持つ興味深い組織と評している。北海道大学の研究も、爪が爪幹細胞の細胞分裂と細胞分化により伸び、全身状態の影響を受けると述べる。爪は体の内側を映す板なのだ。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 人体のふしぎ図鑑(児童向け・皮ふと髪と爪の章)
皮膚・毛・爪が同じ「体の表面」の仲間であることを図で押さえる段階。根もとで作られ外へ押し出されるという共通の流れをつかむ。 - 組織学の入門書(皮膚とその付属器の章を中心に)
毛包・毛母・爪母という構造の名前と位置を学ぶ。角化という過程が皮膚・毛・爪でどう共通し、どう違うかが見えてくる。 - 幹細胞生物学の標準教科書
自己複製と分化という幹細胞の二つの性質を理解する。AMEDの解説にある幹細胞プールの維持と毛母細胞の供給が、教科書の言葉で説明できるようになる。 - 毛周期と毛包再生に関する専門書・総説
毛包の再生と退縮の周期を制御する信号と、幹細胞の分裂様式が老化に結びつく仕組みを追う。東京大学医科学研究所の研究の位置づけが分かる。
さらに進む方向
もっと詳しく:しくみのながれ
- STEP 1毛包のバルジ領域にある毛包幹細胞が自己複製する
- STEP 2幹細胞が毛母細胞を供給する
- STEP 3毛母細胞が分裂して毛の材料となる細胞を作る
- STEP 4細胞が角化してかたくなる
- STEP 5古い細胞が外へ押し出され、毛がのびる
- STEP 6幹細胞が周期的に活性化し、毛包が再生と退縮をくり返す
ことばのメモ
- 毛包
- 毛を作る皮ふの中の器官
- 幹細胞
- 自分を複製し他の細胞も作る細胞
- 毛母細胞
- 分裂して毛の材料を作る細胞
- 角化
- 細胞がかたく変化すること
- 毛周期
- 毛が生えかわるくり返し
よくある質問
髪の毛はどこからのびるの?
切っても痛くないのはどうして?
爪も髪と同じしくみなの?
髪はずっとのび続けるの?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 爪の根もとの近くにペンで小さな印をつけ、1週間ごとに印がどれだけ指先へ動いたかを記録してみよう。
- 抜けた髪の毛の根もとを虫めがねで観察し、外に出ていた部分とどこがちがうか見てみよう。
- 日本医療研究開発機構のウェブサイトで「毛包幹細胞」を検索し、髪の研究がどんな病気の理解につながっているか読んでみよう。
おとな向けに:新書・実用書
とことん深く:専門書・古典
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出典・参考文献
- 日本医療研究開発機構(AMED)高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明 参照 2026-09-11
- 東京大学医科学研究所幹細胞分裂タイプの違いが毛包の再生・老化を決定づけることを発見 参照 2026-09-11
- 北海道大学伸びが止まっても綺麗な爪を保つ冬眠 参照 2026-09-11
- 日本皮膚科学会雑誌(J-STAGE)爪母組織の角化とその構成細胞の分化の特性 参照 2026-09-11
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
本文にあるとおり、髪の毛の根もとには毛包幹細胞があり、毛を生やす毛母細胞を供給しています。そこで新しい細胞が作られ、古い細胞が外へ押し出されていくのが「のびる」ということです。毛の先やまん中で作られるのではありません。