落ち葉はどうして落ちるの?

公開:2026-09-11 更新:2026-09-11 読了 約6分

図解

1 STEP 1 秋が深まり、葉が古くなる 2 STEP 2 葉の中でアントシアニンの合成や糖の増加が始まる 3 STEP 3 葉のつけ根に離層ができる 4 STEP 4 葉と枝の間で水や養分の行き来が妨げられる 5 STEP 5 離層の細胞がもろくなる 6 STEP 6 葉が離層からはがれて落ちる

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

木が葉のつけ根に「離層」を作って、自分から葉を切りはなすから。

秋が深まると、公園や山の木から葉っぱがはらはらと落ちてきますね。じつはこれ、葉っぱがかれて落ちるのではなく、木が自分から葉っぱを切りはなしているのです。

森林しんりん総合そうごう研究所けんきゅうじょ解説かいせつによると、古くなった葉のつけ根には「離層りそう」といううすいかべのような部分ができます。離層ができると、葉とえだの間で水や養分が行き来しにくくなり、やがて葉はそこからはがれて落ちるのです。

どうしてわざわざ落とすのでしょう。図書館の回答かいとうには、落葉樹らくようじゅは葉を落とすことで、水分や養分を失うのをふせいでいると書かれています。冬は葉があるとかえってそんをするので、先に手放してしまうのですね。

マツやアラカシのような常緑樹じょうりょくじゅも、じつは葉を落としています。ただ、一度にまとめて落とさないので目立たないだけです。アラカシの葉は平均へいきんで2年から2年半ほど木についていることが調べられています。

落ち葉は木のさいごの仕事のあとなのです。落ち葉をひろったら、つけ根をそっと見てみましょう。まるく整った切り口が、離層のあとですよ。

落葉は枯死の結果ではなく、樹木が能動的に葉を切り離すプロセスだ。森林総合研究所の解説によれば、古くなった葉の葉柄などに離層が形成され、葉と枝の間の物質の行き来が妨げられることで葉は落ちる。国立国会図書館のレファレンス回答は、落葉樹が葉を落とすのは水分や養分を失うことを防ぐためだと説明している。

見落とされがちなのは常緑樹だ。常緑樹も葉を落としているが、一斉に落とさないため目立たないにすぎない。多摩森林科学園の観察では、常緑広葉樹の葉の寿命はアラカシとクスノキで2年から2年半、ツブラジイでは2年半から4年半に達する。「落ちない葉」ではなく「ゆっくり入れ替わる葉」なのだ。

さらに2026年の研究では、紅葉のもとになるアントシアニンの合成が、離層の発達より前に始まることが分かった。色づきと落葉は別々の出来事ではなく、ひとつながりの秋支度である。

仕組みの科学

落葉の主役は「離層」と呼ばれる特殊な細胞層である。森林総合研究所の解説によると、古くなった葉の葉柄などに離層ができ、葉と枝の間で物質の行き来が妨げられる。これが落葉の直接の引き金だ。離層の細胞が崩壊し始めると、葉はそこから分離して落ちる。落ち葉のつけ根が整っているのは、引きちぎられたのではなく、離層という決まった場所で切り離されたからである。

葉を落とす目的については、国立国会図書館のレファレンス回答が簡潔に述べている。落葉樹は葉を落とすことで、水分や養分を失うことを防いでいるのだ。葉は光合成の工場であると同時に、水を蒸散させる出口でもある。冬に光合成の効率が下がる一方で水の損失だけが続くなら、葉を保持するコストが利益を上回る。落葉はこの収支を踏まえた、いわば撤退の判断である。

2026年に森林総合研究所が発表した研究は、この撤退が想像より早く始まることを示した。離層の細胞が崩壊し始める前から、葉ではアントシアニンの合成や糖の増加が始まっていたという。落葉は一日の出来事ではなく、数週間かけて進む段階的な工程なのである。

歴史と発見

落ち葉は古くから秋の景物として和歌や俳句に詠まれてきたが、「なぜ落ちるのか」という問いが科学の対象になったのは、植物の細胞や組織を顕微鏡で観察できるようになってからである。葉柄の基部に特別な細胞層があり、そこで葉が切り離されるという理解は、植物解剖学の発展とともに定着した。日本語で「離層」という訳語が使われるのも、この構造が離れるための層だからだ。

研究の焦点はその後、離層がいつ、何をきっかけに働くのかへ移った。森林総合研究所が2024年に発表した研究では、葉の糖濃度が上昇することで老化が進み、落葉時期が早まることが示されている。紅葉の色素であるアントシアニンには、糖の上昇を抑えて早すぎる落葉を避ける働きがあると報告された。そして2026年の研究は、そのアントシアニンの合成が離層の発達前から始まることを明らかにした。

つまり紅葉の研究と落葉の研究は、別々の道を歩んだ末に同じ場所で合流した。葉が色づくことと葉が落ちることは、ひとつの生理過程の前半と後半だったのである。

もう一歩先

「落葉樹は葉を落とし、常緑樹は落とさない」という区別は、実は正確ではない。森林総合研究所の解説にあるように、常緑樹も葉を落としているが、一斉に落とさないので目立たないだけである。多摩森林科学園の観察によれば、常緑広葉樹の葉の寿命はアラカシとクスノキで2年から2年半、ツブラジイでは2年半から4年半に及ぶ。常緑樹の足元にも、一年を通して古い葉が静かに落ち続けている。

ここから見えてくるのは、葉を「使い捨てにする戦略」と「長く使い続ける戦略」の対比である。落葉樹は毎年新しい葉を作る代わりに、冬のあいだ葉の維持費を払わない。常緑樹は葉を長持ちさせる代わりに、一枚一枚を丈夫に作るコストを払う。どちらが有利かは、冬の厳しさや水の得やすさなど、その土地の条件によって変わる。

身近な観察としては、落ち葉のつけ根を虫めがねで見比べてみるとよい。落葉樹の葉柄の切り口は整っており、離層で切り離された痕跡が観察できる。常緑樹の落ち葉も同様に整った切り口を持っている。落ち葉一枚に、木が何年も前から積み重ねてきた判断の記録が残っているのである。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 落ち葉が落ちるとき、葉のつけ根にできるものは?
こたえ:離層
本文にあるとおり、古くなった葉のつけ根には「離層」といううすい壁のような部分ができます。離層ができると水や養分が行き来しにくくなり、葉はそこからはがれて落ちます。つぼみや年輪は落ち葉とは関係がありません。
Q2. 落葉樹が葉を落とすのは何のため?
こたえ:水分や養分を失うのを防ぐため
図書館の回答にあるように、落葉樹は葉を落とすことで水分や養分を失うのを防いでいます。冬は葉があるとかえって損をするので、先に手放してしまうのです。木は走りませんし、虫をよぶために葉を落とすわけでもありません。
Q3. 常緑樹の葉についてただしいのはどれ?
こたえ:一度に落とさないので目立たないだけで、落ちている
本文にあるとおり、常緑樹も葉を落としていますが、一度にまとめて落とさないので目立たないだけです。アラカシの葉は平均で2年から2年半ほど木についてから落ちます。一生落ちないわけでも、春に全部落ちるわけでもありません。

👤 大人のちょっとした雑学

紅葉は離層より先に始まっていた

森林総合研究所の2026年の研究によれば、葉を枝から切り離す離層の発達前から、アントシアニンの合成が始まっている。離層の細胞が崩壊し始めた10月上旬より前に、アントシアニンの合成や糖の増加が観察されたという。色づきは落葉の前触れなのだ。

常緑樹の葉にも寿命がある

多摩森林科学園の観察では、常緑広葉樹の葉の寿命はアラカシで平均2年から2年半、クスノキで2年から2年半、ツブラジイで2年半から4年半ほど。常緑とは「落ちない」ではなく「ゆっくり入れ替わる」という意味なのだ。

糖が増えすぎると葉は早く落ちる

森林総合研究所の2024年の研究は、葉の糖濃度が上昇することで老化が進み、落葉時期が早まることを示した。紅葉の色素アントシアニンには、この糖の上昇を抑えて早すぎる落葉を避ける働きがあると報告されている。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 樹木の図鑑(児童向け・葉と枝のつくり編)
    まず葉柄・枝・幹という部位の名前と役割を押さえる段階。離層という言葉が出てきたとき、どこにできる層なのかを図で思い浮かべられるようになる。
  2. 植物生理学の入門書(葉の老化と落葉の章を中心に)
    落葉を「老化」という連続した過程として理解する。離層の形成と物質の移動の遮断が、どの順番で起きるかをつかむのがこの段階。
  3. 樹木生理学・森林生態学の教科書
    落葉樹と常緑樹の戦略を、葉の寿命やコストの視点で比較する。多摩森林科学園の葉の寿命データが、理論のどこに位置づくかが見えてくる。
  4. 植物ホルモンと細胞壁分解に関する専門書
    離層で細胞がもろくなる仕組みを分子のレベルで追う。細胞壁を分解する酵素と、それを制御する信号の話にたどり着く。

さらに進む方向

  • 葉の糖濃度・アントシアニン合成・離層発達の時系列を、樹種ごとに比較する生理生態学的研究
  • 常緑樹の葉の寿命が気候条件によってどう変わるかを追う長期観察研究
  • 離層の細胞壁分解に関わる酵素群と、その発現を制御する植物ホルモンの分子生物学
  • 温暖化にともなう落葉時期の変化を、生物季節観測の長期データから読み解く研究

もっと詳しく:しくみのながれ

  1. STEP 1
    秋が深まり、葉が古くなる
  2. STEP 2
    葉の中でアントシアニンの合成や糖の増加が始まる
  3. STEP 3
    葉のつけ根に離層ができる
  4. STEP 4
    葉と枝の間で水や養分の行き来が妨げられる
  5. STEP 5
    離層の細胞がもろくなる
  6. STEP 6
    葉が離層からはがれて落ちる

ことばのメモ

離層
葉のつけ根にできる切りはなす層
落葉樹
冬に葉をまとめて落とす木
常緑樹
一年中葉がついている木
葉柄
葉と枝をつなぐ細い部分
アントシアニン
紅葉の赤色をつくる色素

よくある質問

落ち葉はかれて落ちるの?
かれて落ちるのではありません。木が葉のつけ根に離層という層を作り、水や養分の行き来を止めてから、自分から葉を切りはなしています。
常緑樹は葉を落とさないの?
落としています。ただし一度にまとめて落とさないので目立ちません。アラカシやクスノキの葉は2年から2年半ほど木についてから落ちます。
どうして葉を落とすと木のためになるの?
葉があると水分や養分が失われていきます。冬にそれを防ぐため、落葉樹は葉を落として体の中の水や養分を守っていると説明されています。
紅葉と落ち葉は関係があるの?
あります。紅葉の色素アントシアニンの合成は、離層が発達する前から始まっていることが分かっており、色づきと落葉はひとつながりの秋支度です。

学びのタネ

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家でできること

  • 落ち葉を10枚ひろって、つけ根の切り口を虫めがねで観察し、整っているかどうかを記録してみよう。
  • 同じ木を週に1回写真にとり、色づきが始まる日と葉が落ち始める日の間かくを調べてみよう。
  • 常緑樹の下にも落ち葉があるか探して、落葉樹の下と落ち葉の量や色をくらべてみよう。

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出典・参考文献

  1. 森林総合研究所森林の生き物 Q3 紅(黄)葉のしくみ 参照 2026-09-11
  2. 森林総合研究所秋の紅葉は、落葉させる「離層」が発達する前から始まっている 参照 2026-09-11
  3. 森林総合研究所 多摩森林科学園常緑広葉樹の新葉と葉の寿命 参照 2026-09-11
  4. 森林総合研究所紅葉もたらす色素、デンプンに代わって糖上昇抑え早期落葉回避 参照 2026-09-11
  5. 国立国会図書館 レファレンス協同データベース葉っぱを落としてしまった木は、なぜ生きていられるのか 参照 2026-09-11

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