数字の「ゼロ」はいつできたの?

公開:2026-09-11 更新:2026-09-11 読了 約6分

図解

1 前2世紀頃(説の一つ) 零と九つの記号を用いる十進記数法がインドで生まれたとする 2 458年(説の一つ) インドでゼロが使われた最古の事例とする説 3 6世紀頃 インドで位取り記数法が行われていたと考えられる 4 628年 ブラフマグプタの天文書にゼロの演算規則が体系的に記される 5 7世紀 イスラム帝国の拡大とともに記数法が急速に広まる 6 16世紀頃 今の数字と同じ形になり世界中で使われる

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

古代インドで位取りの数字とともに生まれたと考えられているから。

「何もない」を数字で書く。これは大発明でした。今わたしたちが使っている0から9までの数字は、古代インドで生まれたと考えられています。

図書館の回答かいとうによると、6世紀ごろのインドでは「位取くらいど記数法きすうほう」が使われていたと考えられています。位取りとは、数字を書く場所で「一の位」「十の位」を表す書き方です。たとえば「10」と「100」は、同じ1でも書く場所がちがうだけで大きさがちがいますね。この書き方には、空いた位をうめる「0」がどうしても必要でした。

インドの天文学者てんもんがくしゃブラフマグプタが628年に書いた本には、ゼロを使った計算のきまりがまとめて書かれています。ただし、ゼロがいつ生まれたかは資料しりょうによって説がわかれていて、はっきりとは分かっていません。

この数字は7世紀にイスラムの国々に広まり、その後ヨーロッパへつたわりました。世界中で受け入れられるまでには、1000年という月日がかかったそうです。16世紀ごろには、今の数字と同じ形になりました。

0があるおかげで、10の数字だけでどんな大きな数も書けます。当たり前に見える0は、人類が長い時間をかけて手に入れた道具なのですよ。

0から9までの数字で数を表す仕組みは、古代インドに行き着く。国立国会図書館のレファレンス回答によれば、6世紀の頃のインドでは位取り記数法が行われていたと考えられており、天文学者ブラフマグプタが628年に著した『ブラーフマスプタシッダーンタ』には、ゼロを対象とする演算規則が体系的に述べられている。ゼロは計算の相手として扱われる数になっていたのだ。

ただし起源の年代は資料によって割れている。前2世紀頃のインド人の独創とする事典もあれば、最古の事例を458年とする本もある。数学史の資料そのものが断片的だからである。

伝播の経路ははっきりしている。7世紀にイスラム帝国が周辺地域を征服すると記数法も急速に広まり、16世紀ごろには今の数字と同じ形になって世界中で使われるようになった。位を書く位置が決まっているので、同じ桁の数字がひと目で分かる。この便利さが、1000年かけて世界を席巻した理由なのだ。

仕組みの科学

ゼロの本質は「何もない」ことを表す記号であると同時に、位取り記数法を成り立たせる部品であることにある。国立国会図書館のレファレンス回答が説明するように、私たちが使う数字は0から9までの10種類で、位を書く位置が決まっているので同じ桁の数字がひと目で分かる。「205」と書けば、2は百の位、0は十の位、5は一の位を占める。十の位に何もないことを明示する記号がなければ、「25」と区別がつかない。ゼロは位取りの空席を埋める記号として不可欠なのである。

この仕組みがなかった時代の数の書き方を想像すると、ゼロの威力が分かる。数を表す記号を並べて足し合わせる方式では、大きな数ほど記号が増え、筆算のような操作は難しくなる。位取り記数法では、桁が増えても使う記号は10種類のままで、桁をそろえて書けば足し算や掛け算を機械的に進められる。計算が「手順」になったのは、ゼロを含む位取りのおかげだ。

さらにインドの数学者は、ゼロを記号から数へと引き上げた。レファレンス回答が紹介する『ブラーフマスプタシッダーンタ』は、ブラフマグプタが628年に著した天文書で、ゼロを対象とする演算規則が体系的に述べられている。ある数にゼロを足しても変わらない、ゼロを掛ければゼロになる、といった規則が整理されたことで、ゼロは計算の中で他の数と同じように扱える存在になった。

歴史と発見

ゼロがいつ生まれたのかという問いに、資料は一つの答えを与えていない。国立国会図書館のレファレンス回答に引用されている資料を見ると、『零の発見』は6世紀の頃のインドでは位取り記数法が行われていたのではないかと述べ、ブリタニカ国際大百科事典は零と九つの記号を用いる十進記数法を前2世紀頃のインド人の独創とし、『無の本』はインドでゼロが使われた最古の事例を458年としている。前2世紀から7世紀まで、説の幅は数百年に及ぶ。

この幅は、研究者の怠慢ではなく史料の性質による。数字の書き方は日常の道具であり、誰がいつ発明したかを記録に残す性質のものではない。残っている碑文や写本から、位取りと空位の記号がいつ使われ始めたかを推定するしかなく、資料の解釈によって年代が動く。確実に言えるのは、628年のブラフマグプタの天文書には、ゼロを対象とする演算規則が体系的に述べられていたということだ。

伝播の歴史はより明確に追える。レファレンス回答によれば、7世紀にイスラム帝国が周辺地域を征服すると、この記数法も急速に広まった。イスラム世界を経由してヨーロッパに伝わったため、この数字は「アラビア数字」と呼ばれる。そして16世紀ごろには今の数字と同じ形になり、世界中で使われるようになった。インドで生まれた表記が世界中で受け入れられるまでには、1000年という月日が必要だったのである。

もう一歩先

ゼロには実は三つの顔がある。第一に、位取りの空席を示す記号としてのゼロ。第二に、足したり掛けたりできる数としてのゼロ。第三に、「何もない」という量そのものを指す概念としてのゼロである。国立国会図書館のレファレンス回答が示すように、位取り記数法の成立と、ブラフマグプタによる演算規則の体系化は別の出来事として記録されている。記号としてのゼロが先にあり、それを数として扱う理論があとから整えられたと読むことができる。

この区別は現代の学びにもつながる。小学校で最初に出会うゼロは、位取りの空席としてのゼロだ。やがて引き算の答えとしてのゼロ、温度計の0度のような基準点としてのゼロ、さらに進めば方程式の解としてのゼロと、ゼロの役割は学年とともに広がっていく。ゼロは一つの数字でありながら、数学のいくつもの段階で姿を変えて現れる。

身近な実験としては、ゼロを使わずに大きな数を書いてみるとよい。たとえば「2026」を、記号を並べて足し合わせる方式で表そうとすると、記号の種類か個数が増えていく。同じ数を位取りで書けば4文字で済む。この差を体感すると、レファレンス回答にある、位を書く位置が決まっているので同じ桁の数字がひと目で分かる、という一文の重みが理解できる。世界中で同じ数字が使われているのは偶然ではなく、この仕組みが圧倒的に便利だったからなのだ。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 0から9までの数字はどこで生まれたと考えられている?
こたえ:古代インド
本文にあるとおり、今わたしたちが使っている0から9までの数字は古代インドで生まれたと考えられています。そのあと7世紀にイスラムの国々に広まり、ヨーロッパへ伝わりました。
Q2. 「位取り」の説明としてただしいのは?
こたえ:数字を書く場所で一の位や十の位を表す
本文にあるとおり、位取りとは数字を書く場所で「一の位」「十の位」を表す書き方です。「10」と「100」は同じ1でも書く場所がちがうだけで大きさがちがいます。この書き方には空いた位をうめる0が必要でした。
Q3. 628年にゼロの計算のきまりを本にまとめた人は?
こたえ:ブラフマグプタ
本文にあるとおり、インドの天文学者ブラフマグプタが628年に書いた本には、ゼロを使った計算のきまりがまとめて書かれています。ただしゼロがいつ生まれたかは資料によって説がわかれています。

👤 大人のちょっとした雑学

ゼロの誕生年は数百年の幅で割れている

国立国会図書館のレファレンス回答に並ぶ資料は、前2世紀頃のインド人の独創とするもの、最古の事例を458年とするもの、6世紀の頃とするものと、説が数百年の幅で割れている。数字の書き方は発明の記録が残りにくい日常の道具だからだ。

628年の天文書がゼロを「数」にした

ブラフマグプタの天文書『ブラーフマスプタシッダーンタ』は、ゼロを対象とする演算規則を体系的に述べている。空席を示す記号だったゼロが、足したり掛けたりできる数として扱われた記録である。数としてのゼロはここで確立した。

世界標準になるまで1000年

レファレンス回答によれば、0から9までの数字による表記が世界中で受け入れられるには1000年という月日が必要だった。7世紀にイスラム帝国とともに広まり、16世紀ごろに今の形になった。便利さは一瞬で伝わらないのだ。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 数と数字の図鑑(児童向け・世界の数の書き方編)
    ローマ数字や漢数字など、位取りを使わない書き方と使う書き方を見比べる段階。ゼロが必要になる理由を、絵で納得しておく。
  2. 数学史の入門書(記数法とゼロの章を中心に)
    インドで生まれた位取り記数法がイスラム世界を経てヨーロッパへ伝わる流れを一本の物語として追う。年代の諸説がなぜ生じるかも見えてくる。
  3. インド数学史・アラビア数学史の概説書
    ブラフマグプタの演算規則が、当時の天文学や代数とどう結びついていたかを知る。ゼロが数として扱われる文脈が理解できる。
  4. 数の概念に関する数学基礎論・哲学の専門書
    記号としてのゼロ、数としてのゼロ、概念としてのゼロという三つの顔を、集合論や数の公理の観点から整理する。

さらに進む方向

  • 碑文や写本に残る位取りと空位記号の初期用例を年代測定と文献学で検証する数学史研究
  • インド・イスラム・ヨーロッパ間の数学知識の翻訳と伝播を追う科学史研究
  • 子どもがゼロと位取りを理解する過程を追う数学教育学・発達心理学
  • 自然数とゼロの公理的構成を扱う数学基礎論・数理論理学

もっと詳しく:歴史と時系列

  1. 前2世紀頃(説の一つ)
    零と九つの記号を用いる十進記数法がインドで生まれたとする説
  2. 458年(説の一つ)
    インドでゼロが使われた最古の事例とする説
  3. 6世紀頃
    インドで位取り記数法が行われていたと考えられる
  4. 628年
    ブラフマグプタの天文書にゼロの演算規則が体系的に記される
  5. 7世紀
    イスラム帝国の拡大とともに記数法が急速に広まる
  6. 16世紀頃
    今の数字と同じ形になり世界中で使われる

ことばのメモ

位取り記数法
書く場所で位を表す数の書き方
アラビア数字
0から9の10個の数字
演算規則
計算のきまり
一の位・十の位などの場所

よくある質問

ゼロはだれが発明したの?
一人の発明者は分かっていません。古代インドで位取り記数法とともに生まれたと考えられており、628年のブラフマグプタの天文書にはゼロを使った演算規則がまとめられています。
ゼロが生まれた年ははっきりしているの?
はっきりしていません。前2世紀頃とする事典、458年を最古の事例とする本、6世紀ごろとする本など、資料によって説がわかれています。
どうしてアラビア数字とよばれるの?
インドで生まれた記数法が7世紀にイスラム帝国に広まり、そこからヨーロッパへ伝わったためです。16世紀ごろには今の数字と同じ形になりました。
ゼロがないと何が困るの?
位取りができなくなります。十の位が空いていることを示す記号がないと「25」と「205」の区別がつかず、大きな数ほど書きにくくなります。

学びのタネ

この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。

家でできること

  • 「2026」をゼロを使わずに書く方法を考えて、ふだんの書き方と何文字ちがうかくらべてみよう。
  • 国立国会図書館のレファレンス協同データベースで「ゼロ 発明」を検索して、どんな本がしょうかいされているか見てみよう。
  • 身の回りで0が使われている場所(時計・温度計・値札・電話番号)を集めて、それぞれの0の役割がちがうか話し合ってみよう。

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出典・参考文献

  1. 国立国会図書館 レファレンス協同データベースインドでゼロ(零、0)が発明されたが、いつ頃なのか知りたい 参照 2026-09-11
  2. 国立国会図書館 レファレンス協同データベースなぜ同じ数字が世界中で使われているのか 参照 2026-09-11

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