雪の結晶はどうして六角形なの?

公開:2026-10-15 更新:2026-10-15 読了 約6分

図解

1 ① 水蒸気 空の高いところで、水蒸気が直接氷のつぶになる 2 ② 六角形 水の分子が六角形にならび、小さな六角形の結晶ができる 3 ③ 成長 まわりの水蒸気がくっついて、結晶が大きくなる 4 ④ 形が決まる 横にのびれば板状、たてにのびれば柱状。角がのびれば樹枝状 5 ⑤ 落下 回転しながら落ちるので、六本の枝がそろった形に育つ 6 ⑥ 地上へ 途中の気温や湿度で形が変わり、同じ形はひとつもない

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

水の分子が氷になるとき、六角形にならぶ決まりがあるから。

冬ふゆの空そらからふってくる雪ゆき。服ふくのそでにのった雪ゆきをよく見みると、六角形ろっかくけいの星ほしのような形かたちが見みえることがあります。これが雪ゆきの結晶けっしょうです。

雪ゆきは、空そらの高たかいところで、水蒸気すいじょうきが直ちょくせつ氷こおりのつぶになってできます。水みずの分子ぶんしは、氷こおりになるとき、六角形ろっかくけいにならぶ決きまりがあります。だから、最初さいしょにできる小ちいさな結晶けっしょうは六角形ろっかくけいなのです。

そのあと、まわりの水蒸気すいじょうきが結晶けっしょうにくっついて、だんだん大おおきくなります。六角形ろっかくけいの角かどはとがっているので、ほかの場所ばしょより早はやく成長せいちょうします。そのため、角かどから枝えだがのびて、六本ろっぽんの枝えだをもつ星ほしの形かたちになるのです。

横よこに成長せいちょうすれば板いたのような形かたち、たてに成長せいちょうすればはしらのような形かたちになります。気温きおんや水蒸気すいじょうきの量りょうで形かたちが変かわるので、雪ゆきの結晶けっしょうは一ひとつとして同おなじ形かたちがないと言いわれています。

雪ゆきを研究けんきゅうした中谷宇吉郎なかやうきちろうという人ひとは、「雪ゆきは天てんから送おくられた手紙てがみ」という言葉ことばをのこしました。雪ゆきの結晶けっしょうの形かたちを見みれば、空そらのようすが分わかるからです。

雪ゆきがふったら、黒くろい布ぬのや手てぶくろにのせて、虫むしめがねでのぞいてみましょう。空そらからの手紙てがみが読よめるかもしれません。

雪の結晶が六角形になる理由は、水分子の並び方にある。福岡管区気象台の解説によれば、雪は水蒸気が液体を経ずに直接固体になってできるもので、水分子がバランス良く結合するためには六角形になる必要がある。五角形や七角形の雪の結晶のイラストを見かけることがあるが、実際の結晶は六角形だ。

六角形の小さな結晶ができたあと、どう成長するかは気象条件で決まる。水平に成長すれば板状、垂直に成長すれば柱状になり、とがった先端は他より成長しやすいので角から枝がのびて樹枝状になる。大型で複雑な樹枝状の結晶は、気温がマイナス15℃前後で水蒸気が多いときに生まれやすい。大きなものは1mm以上あり、服についた結晶を肉眼で見ることもできる。

中谷宇吉郎は人工雪を作ることに成功し、結晶の形が温度と水蒸気の量で決まることを発見した。この関係を図にまとめたものが中谷ダイヤグラムである。

仕組みの科学

雪の結晶は、空の高いところで水蒸気が液体の水を経ずに直接氷になってできる。福岡管区気象台の解説によれば、水分子が衝突して氷の結晶ができるとき、水分子がバランス良く結合するためには六角形になる必要がある。これが「雪はなぜ六角形か」の答えの核心で、最初にできる小さな結晶は六角形をしている。その後、周囲の水蒸気が結晶にくっついて成長していく。どのような形に成長するかは、そのときの気象条件で決まる。水平に成長すれば板状、垂直に成長すれば柱状の結晶になる。また、先端のとがった部分は他に比べて成長しやすいため、六角形の角がどんどん成長して、よく見かける樹枝状の結晶になる。北海道大学の解説でも、結晶は最初は六角柱で、その後の温度で角板状になるか角柱状になるかが決まり、水蒸気の量が形の複雑さを決めると説明されている。水蒸気が多いと辺や角が成長し、より複雑な形になるのだ。温度と水蒸気量と結晶の形の関係を整理した図は中谷ダイヤグラムや小林ダイヤグラムと呼ばれ、大型で複雑な樹枝状の結晶は、気温がマイナス15℃前後で水蒸気が多いときに発生することが分かっている。さらに、結晶は地上に降ってくる途中でも気温や湿度で形を変えるため、雪の結晶は一つとして同じ形のものはないとされる。

歴史と発見

「雪は天から送られた手紙」。この言葉を残したのは、雪の研究者の中谷宇吉郎である。北海道大学の記事によれば、中谷は人工雪を作ることに成功し、雪の結晶の形を決めるのは温度と水蒸気の量であることを発見した。空から降ってきた結晶の形を見れば、その結晶が育った上空の温度や水蒸気の状態が分かる。だから雪の結晶は、空の様子を伝える手紙なのだ。この関係を図にまとめたものが中谷ダイヤグラムで、福岡管区気象台はこの図を、天からの手紙を読むためのロゼッタストーンと紹介している。中谷の研究はその後も受け継がれた。北海道大学低温科学研究所の広報誌によれば、研究者の古川義純は中谷の弟子のひとりである小林禎作とともに15年にわたって雪の結晶を研究し、近年では宇宙での氷の結晶成長実験も行っている。古川は研究所の若手研究者とともに、氷点下10℃を下回る大雪山で、空から降ってくる結晶を採取して観察や撮影を続けている。観察すると、結晶の形は千差万別でも、ほとんどが正六角形の樹枝状構造をもち、一つの結晶の六本の枝は枝分かれの場所や形がほとんど同じで、きれいな左右対称になっている。一本ずつ枝の形が違うという結晶は、まずないという。

もう一歩先

なぜ六本の枝は、離れた場所で育つのに同じ形になるのか。古川義純の解説によれば、天然の雪の結晶は空気抵抗を受けながら落下するので、花びらが舞い落ちるときのようにくるくると回転しながら落ちてくる。コーヒーに入れたミルクをかき回して均一にするのと同じように、回転することで六本の枝のまわりの条件が均等になり、ほぼ同じ条件の下で同じ形に成長する。これが神秘的なまでの対称性を生んでいるのだという。一方、中谷の人工雪は装置内に固定されたウサギの毛の上で成長するため、下から吹き上げる風の中で枝ごとに空気の流れに違いが生まれ、下側が少し大きく成長する。自然の結晶の美しさには、回転という動きが関わっているわけだ。雪の結晶は身近な観察対象でもある。福岡管区気象台によれば、大きなものは1mm以上あり、服についた結晶をそのまま見ることもできるが、虫眼鏡を使ったりカメラで撮って拡大したりするときれいに見える。北海道大学の記事も、綿雪をジャンバーの袖の上にのせてじっと目を凝らすと結晶が見え、樹枝状六花やシダ状六花のような形が観察できると伝えている。雪が降る日は、空からの手紙を自分の目で読んでみてはどうだろう。なお、雪が白く見える理由は、結晶が六角形であることとは別の問いになる。「雪はどうして白いの?」の記事で解説している。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 雪の結晶の形は、どれ?
こたえ:六角形
雪の結晶は六角形です。水の分子が氷になるとき、六角形にならぶ決まりがあるからです。五角形や七角形の雪のイラストを見かけることがありますが、本物の雪の結晶は六角形になっています。
Q2. 雪の結晶の形を決めるものは、なに?
こたえ:温度と水蒸気の量
中谷宇吉郎は人工雪を作って、雪の結晶の形を決めるのは温度と水蒸気の量だと発見しました。温度で板のような形か、はしらのような形かが決まり、水蒸気の量で形の複雑さが決まります。
Q3. 「雪は天から送られた手紙」とは、どういう意味?
こたえ:雪の結晶の形を見ると、空のようすが分かる
雪の結晶は、それが育った空の温度や水蒸気の量で形が変わります。だから結晶の形を見れば、空のようすが分かるのです。中谷宇吉郎は、このことを「雪は天から送られた手紙」と表現しました。

👤 大人のちょっとした雑学

五角形や七角形の雪は描かれても存在しない

イラストでは五角形や七角形の雪の結晶を見かけることがあるが、福岡管区気象台によれば、水分子がバランス良く結合するためには六角形になる必要があり、実際の雪の結晶は六角形になっている。

人工雪はウサギの毛の上で育った

北海道大学低温科学研究所の広報誌によれば、中谷宇吉郎の人工雪は装置内に固定されたウサギの毛の上で成長させたもの。下から吹き上げる風の中で育つため、天然の結晶とは違って下側が少し大きく成長する。

中谷ダイヤグラムは「ロゼッタストーン」

温度と湿度が結晶の成長にどう影響するかを整理した中谷ダイヤグラムや小林ダイヤグラムを、福岡管区気象台は天からの手紙を読むためのロゼッタストーンと紹介している。結晶の形から上空の状態を読み解く鍵というわけだ。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 雪と氷の図鑑(児童向け・雪の結晶の章)
    樹枝状・角板状・角柱状といった結晶の形の顔ぶれを写真でつかむ段階。形の多様さを知ってから、なぜ六角形かという問いに戻ると理解が深まる。
  2. 中谷宇吉郎の随筆集・雪に関する著作
    人工雪の研究がどのように進められたか、研究者自身の言葉で追える。「雪は天から送られた手紙」という言葉の背景にある観察と実験の積み重ねが分かる。
  3. 雪氷学・結晶成長学の入門書(氷の結晶構造の章)
    水分子が六角形に並ぶ理由を、氷の結晶構造と水素結合の観点から学ぶ。温度と水蒸気量が形を決める仕組みを、中谷ダイヤグラムの読み方とあわせて押さえる。
  4. 結晶成長の研究論文・総説
    落下しながら回転する結晶の対称性や、宇宙での氷の結晶成長実験など、現在も続く研究の最前線を知る。何が分かっていて何が未解明かを見極める目が育つ。

さらに進む方向

  • 氷の結晶構造と水素結合から六方晶が生まれる仕組みを学ぶ結晶学
  • 温度と過飽和度が結晶の形を決める仕組みを扱う結晶成長の物理
  • 落下中の回転が六本の枝の対称性を生む過程を調べる雪氷物理学
  • 雪の結晶の形から上空の気象状態を推定する観測研究

もっと詳しく:しくみのながれ

  1. ① 水蒸気
    空の高いところで、水蒸気が直接氷のつぶになる
  2. ② 六角形
    水の分子が六角形にならび、小さな六角形の結晶ができる
  3. ③ 成長
    まわりの水蒸気がくっついて、結晶が大きくなる
  4. ④ 形が決まる
    横にのびれば板状、たてにのびれば柱状。角がのびれば樹枝状
  5. ⑤ 落下
    回転しながら落ちるので、六本の枝がそろった形に育つ
  6. ⑥ 地上へ
    途中の気温や湿度で形が変わり、同じ形はひとつもない

ことばのメモ

結晶
分子がきそく正しくならんでできた固体
水蒸気
水が気体になって空気の中にあるもの
樹枝状
木の枝のように枝分かれした形
中谷ダイヤグラム
温度と水蒸気の量で結晶の形を示した図

よくある質問

雪の結晶はぜんぶ同じ形ですか?
福岡管区気象台によれば、雪の結晶は一つとして同じ形のものはありません。結晶が大きくなって地上に降ってくる途中の気温や湿度で、形がさまざまに変化するためです。
雪の結晶はどのくらいの大きさですか?
大きなものでは1mm以上の大きさがあり、服についた結晶をそのまま目で見ることもできます。虫眼鏡を使ったり、カメラで撮って拡大したりするときれいに見えます。
六本の枝はどうしてそろった形になるの?
天然の雪の結晶は、空気抵抗を受けて回転しながら落ちてきます。回転することで枝のまわりの条件が均等になり、六本の枝がほぼ同じ形に育つと北海道大学の研究者は説明しています。
人工の雪は作れるのですか?
中谷宇吉郎が人工雪を作ることに成功し、結晶の形が温度と水蒸気の量で決まることを発見しました。北海道大学低温科学研究所の広報誌によれば、装置の中のウサギの毛の上で結晶を成長させたそうです。

学びのタネ

この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。

家でできること

  • 雪がふったら、黒い布や手ぶくろの上に雪をのせて、虫めがねでのぞいてみよう。六本の枝が見えるかな。
  • 見つけた結晶が板のような形か、枝のような形かを記録して、どんな天気の日にどの形が多いかくらべてみよう。

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出典・参考文献

  1. 気象庁 福岡管区気象台はれるんマガジン 2023年12月15日号(第45号)今月の素朴な疑問「雪は天からの手紙」 参照 2026-10-15
  2. 北海道大学(いいね!Hokudai)雪の結晶 参照 2026-10-15
  3. 北海道大学低温科学研究所(広報誌 OriOri vol.37)雪氷学のトビラ 第12回 くるくる回る、神秘のカタチ(古川義純) 参照 2026-10-15

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