季節はどうして変わるの?

公開:2026-08-23 更新:2026-08-23 読了 約6分

図解

1 自転軸の傾き 公転面に対して約23.4度(国立天文台) 2 北極側が太陽を向く 北半球の夏・南半球の冬 3 自転軸が太陽に垂直 太陽は赤道上・春と秋 4 南極側が太陽を向く 南半球の夏・北半球の冬 5 北緯35度の南中時入射角 冬至 約32度/春秋分 約55度/夏至 約78度 6 太陽から最も遠い時期 7月上旬ごろ(距離は季節の原因ではない)

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

地球が地軸をかたむけたまま回っていて、太陽の高さが季節で変わるから。

夏は暑くて、冬は寒い。どうしてでしょうか。「夏は地球が太陽に近づくから」と思っている人がいるかもしれません。でも、それはまちがいです。国立天文台こくりつてんもんだいによると、地球の道すじはほとんど円で、きょりはあまり変わりません。それどころか、太陽からいちばんはなれるのは七月の初めごろなのです。本当の理由は、地球のかたむきにあります。地球は自転軸じてんじくを、回る道すじに対して約二十三・四度かたむけたまま、太陽のまわりを回っています。北がわが太陽を向く時期は、北半球の夏になります。南がわが太陽を向く時期は、北半球の冬です。かたむきのおかげで、お昼の太陽の高さが季節で大きく変わります。太陽が高いと、同じ広さの地面が受け取る光が強くなります。だから夏は暑くなるのです。太陽が低いと光はななめに広がり、地面は温まりにくくなります。昼の長さも季節で変わります。夏は昼が長く、冬は昼が短くなります。太陽の高さと昼の長さ、この二つが重なって、夏の暑さと冬の寒さが生まれるのです。空を見上げるとき、太陽の高さもくらべてみてください。

四季の主役は距離ではなく角度だ。地球の回転軸は公転面に垂直ではなく、およそ二十三度半だけ寝ている。この寝かせ方が一年を通じて変わらないため、太陽に対する向きだけが刻々と入れ替わる。北の端が日に向く季節が北半球の夏、南の端が向く季節が冬。真横を向く時期が春と秋にあたる。結果として動くのは、正午の太陽の高さと昼の長さである。天文学辞典は、東京あたりの緯度では正午に光が射し込む角度が冬に三十二度、夏に七十八度まで開くと記す。同じ面積の地面が浴びる光の濃さが、これだけ違うのだ。よく語られる「夏は太陽に近いから暑い」という説明は、国立天文台がはっきり否定している。軌道はほぼ真円に近く、しかも最も遠ざかるのは七月の頭である。暑さの正体は距離ではなく、たった二十三度半の傾きなのだ。

仕組みの科学

国立天文台の暦計算室は、季節変化の骨格を三行で示す。自転軸の向きは、地球の公転面(黄道面)に対して垂直ではなく、約二十三・四度傾いている。この状態で公転すると、北極側が太陽を向く時期が北半球の夏かつ南半球の冬になり、南極側が太陽を向く時期が南半球の夏かつ北半球の冬になる。そして自転軸が太陽に垂直な時期、すなわち太陽が赤道上にくるときが春と秋である。つまり、地球が自転軸を傾けたまま公転することによって季節が変化する。この傾きが日射の受け取り方をどう変えるかを、天文学辞典が数値で示している。北緯約三十五度の地点で、南中時の太陽光の入射角度は冬至で約三十二度、春分と秋分で約五十五度、夏至で約七十八度になる。太陽光の入射角が小さいほど、単位面積あたりに地表面に入射する太陽エネルギーは小さい。このため冬至の頃には地面や海面が最も温まりにくく、夏至の頃には最も温まりやすい。加えて、昼間の長さが冬至の頃は最も短く夏至の頃に最も長いことも気温の変化に影響している。角度と時間、二つの効果が重なって季節ができるのだ。

歴史と発見

季節の理由をめぐっては、いまも根強い誤解が残っている。天文学辞典は、中学校理科で学ぶ「季節の変化」の主要因について二つの誤解が広く見られると述べ、その第一に、太陽と地球の距離の違いが原因であるという誤解を挙げている。地球の公転軌道は太陽を一つの焦点とする楕円であり、距離は年間を通じてわずかに変わる。しかし気温が夏に高く冬に低いのは距離のせいではなく、実際にはその逆だとされる。国立天文台の暦計算室も同じ点をはっきり否定している。太陽に近づくと夏、遠ざかると冬、ではない。極端な楕円軌道の天体なら距離の変化で季節が起こることもあるが、地球の軌道はほぼ円形で、距離はそれほど大きく変化しない。むしろ、太陽から最も遠く離れるのは七月上旬ごろである。北半球が真夏を迎えるまさにその時期に、地球は太陽から最も遠い。この一点を知るだけで、距離説は成り立たなくなる。誤解が長く生き延びてきたのは、「近い=暑い」という日常の直感が強すぎるからだろう。天体の話では、直感より幾何のほうが正しい。

もう一歩先

傾きが季節を作るなら、傾きが違えばどうなるのか。国立天文台の暦計算室は思考実験を用意している。もし自転軸が公転面に対して垂直だとしたら、常に太陽は赤道上にあり、季節変化は生じなくなる。水星や金星はそのような状態にある。逆に自転軸が公転面に対して横倒しなら、極端に昼の長い夏と極端に夜の長い冬ができ、差の激しい季節変化になる。約二十三・四度という値は、その中間にある。適度な傾きが、生きものにとってほどよい四季を生んでいるわけだ。この角度は身近な計算にも直結する。国立天文台のよくある質問では、夏至のときの太陽の南中高度は九十からその場所の北緯を引いて二十三・四を足した値、冬至のときは同じく二十三・四を引いた値で求められると説明されている。自宅の緯度を当てはめれば、真夏と真冬の太陽の高さが手計算で出る。緯度による違いも大きい。天文学辞典によれば、季節変化は高緯度地域で最も顕著で、赤道付近ではそれほど顕著ではない。北極圏や南極圏では、夏に白夜、冬に極夜が訪れる。同じ傾きが、場所によってまったく違う季節を描き出している。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 地球が太陽からいちばんはなれるのはいつごろ?
こたえ:七月の初めごろ
国立天文台の暦計算室によると、太陽から最も遠く離れるのは七月上旬ごろです。北半球が夏をむかえる時期に、地球は太陽からいちばん遠くにいます。だから「夏は太陽に近いから暑い」という説明はまちがいなのです。
Q2. 地球の自転軸は、どのくらいかたむいている?
こたえ:約23.4度
国立天文台によると、自転軸の向きは地球の公転面(黄道面)に対して垂直ではなく、約23.4度かたむいています。このかたむきがあるおかげで、太陽の高さと昼の長さが一年のあいだで変わり、季節が生まれます。
Q3. 太陽が低いと、地面はどうなる?
こたえ:温まりにくくなる
天文学辞典によれば、太陽光の入射角が小さいほど、単位面積あたりに地表面に入射する太陽エネルギーは小さくなります。だから太陽が低い冬至のころは、地面や海面が最も温まりにくくなるのです。

👤 大人のちょっとした雑学

真夏こそ太陽から最も遠い

国立天文台の暦計算室は、太陽から最も遠く離れるのは7月上旬ごろだと記す。北半球が猛暑にあえぐまさにその時期である。距離説を一撃で崩すこの事実は、季節を決めているのが距離ではなく傾きだという結論をもっとも短く証明してくれる。

東京の太陽、冬32度・夏78度

天文学辞典によれば、北緯約35度の地点で南中時の太陽光の入射角度は、冬至で約32度、春分と秋分で約55度、夏至で約78度になる。同じ町の同じ正午で、太陽の高さが46度も動く。ビルの影の長さが季節で激変するのは、この数字そのものだ。

傾きゼロの惑星には季節がない

国立天文台の解説は、自転軸が公転面に垂直なら常に太陽は赤道上にあり、季節変化は生じなくなると述べ、水星や金星をその例に挙げる。逆に横倒しなら極端な夏と冬になる。地球の23.4度は、四季という中庸を成立させている絶妙な角度なのだ。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. こども天文図鑑(太陽と地球の動き)
    公転・自転・地軸の傾きを立体的にイメージする段階。図で理解しておくと、以降の角度計算がすべて具体的な空間の話になる。
  2. 暦と天文の入門書(二十四節気と二至二分)
    二至二分という区切りが天文現象の定義であることを押さえる。暦という文化装置が天文計算の産物だと分かる。
  3. 地球科学の教科書(気候システムと日射)
    日射量の緯度分布と季節変化を、大気・海洋の熱輸送とあわせて扱う。天文的な入射角の話が気候の話に接続する。
  4. 天体力学・位置天文学の教科書
    公転軌道の離心率、近日点・遠日点、歳差運動を定量的に扱う。傾きが数万年スケールで動くという視点まで届く。
  5. 古気候学の専門書(ミランコビッチ・サイクル)
    地軸の傾きと軌道要素の長期変動が氷期・間氷期を左右したという議論。季節の話が地球史の話に変わる到達点。

さらに進む方向

  • 国立天文台の暦計算室で自宅の緯度経度を入力し、日の出入りと南中高度の年間変化を出力して眺める
  • 同じ時刻・同じ場所の影の長さを1年記録し、天文計算値と実測を突き合わせる
  • 気象庁の気温平年値と南中高度の年間変化を重ねて、季節のずれ(最高気温が夏至より遅れる理由)を検討する
  • 軌道要素の長期変動と氷期サイクルの関係を古気候学の総説で追う
  • 他の惑星の自転軸傾斜角を比較し、季節の有無と気候の関係を惑星科学の視点で整理する

もっと詳しく:くらべてみる

  1. 自転軸の傾き
    公転面に対して約23.4度(国立天文台)
  2. 北極側が太陽を向く
    北半球の夏・南半球の冬
  3. 自転軸が太陽に垂直
    太陽は赤道上・春と秋
  4. 南極側が太陽を向く
    南半球の夏・北半球の冬
  5. 北緯35度の南中時入射角
    冬至 約32度/春秋分 約55度/夏至 約78度
  6. 太陽から最も遠い時期
    7月上旬ごろ(距離は季節の原因ではない)
  7. 傾きがゼロなら
    季節変化は生じない(水星・金星)

ことばのメモ

自転軸
地球が回るときの中心の線
公転
太陽のまわりを回ること
南中高度
真南に来た太陽の高さ
二至二分
夏至・冬至・春分・秋分のこと
白夜
夜でも太陽がしずまないこと

よくある質問

夏は地球が太陽に近いから暑いの?
ちがいます。国立天文台は、太陽に近づくと夏、遠ざかると冬、ではないと明記しています。太陽から最も遠く離れるのは七月上旬ごろです。
地球はどのくらい傾いているの?
国立天文台によると、自転軸の向きは公転面(黄道面)に対して垂直ではなく、約二十三・四度傾いています。この傾きが季節を生みます。
傾いていなかったらどうなるの?
国立天文台の解説では、自転軸が公転面に垂直なら常に太陽は赤道上にあり、季節変化は生じなくなります。水星や金星がその状態です。
太陽の高さで気温がどう変わるの?
天文学辞典によれば、入射角が小さいほど単位面積あたりの太陽エネルギーは小さくなります。だから太陽が低い冬は地面が温まりにくいのです。
南半球でも同じ季節なの?
逆になります。天文学辞典は、東京が夏のときシドニーは冬だと説明しています。北極側と南極側のどちらが太陽を向くかで入れかわります。

学びのタネ

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家でできること

  • 同じ時刻に木のかげの長さを毎月はかって記録し、季節でどれだけ変わるか折れ線グラフにしてみよう。
  • 自分の住む町の北緯を調べ、夏至と冬至の南中高度を国立天文台の式で計算してみよう。
  • 懐中電灯を紙にまっすぐ当てたときとななめに当てたときで、明るさの広がり方をくらべてみよう。

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出典・参考文献

  1. 国立天文台 暦計算室暦Wiki/季節/季節はなぜ変化するのか? 参照 2026-08-23
  2. 国立天文台太陽の南中高度はどうやって計算する? 参照 2026-08-23
  3. 日本天文学会 天文学辞典季節の変化 参照 2026-08-23
  4. 日本天文学会 天文学辞典二至二分 参照 2026-08-23

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