血はどうして赤いの?

公開:2026-08-29 更新:2026-08-29 読了 約6分

図解

1 STEP 1 肺で酸素を取り込む 2 STEP 2 赤血球の中のヘモグロビンが受け取る 3 STEP 3 ヘムの中心の鉄に酸素が結合する 4 STEP 4 血流に乗って全身の組織へ運ばれる 5 STEP 5 組織へ酸素をわたす 6 STEP 6 かわりに二酸化炭素を受け取る

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

赤血球の中のヘモグロビンが、鉄をふくむ赤い色素をもっているから。

指をすりむくと、にじんでくる血はいつも赤い色をしています。この赤の正体は、血の中にうかんでいる赤血球せっけっきゅうです。東京大学とうきょうだいがく保健センターの解説によると、赤血球の中には血色素けっしきそとよばれるヘモグロビンへもぐろびんがぎっしりつまっています。ヘモグロビンは、ヘムという色素とグロビンというたんぱく質からできています。そしてヘムの真ん中には、鉄がひとつすわっています。この鉄をふくむヘムが赤い色をしているので、血はあざやかな赤に見えるのです。では、なぜ体は赤い色素をわざわざ使うのでしょう。それは、ヘムが酸素をつかまえる役目をもっているからです。ヘモグロビンは、肺で受けとった酸素を体じゅうの組織そしきに運びます。そして、かわりに二酸化炭素にさんかたんそを受けとって、肺までもどしてきます。大阪大学おおさかだいがく医学部附属病院の解説によると、血液は大人の場合、体重のおよそ八パーセントをしめています。その中を、数えきれないほどの赤血球が休まずに流れつづけているのです。血が赤いということは、体のすみずみへ酸素をとどける仕組みがちゃんと働いている、というしるしなのですよ。

血の赤は、色を目的に選ばれた色ではない。酸素を運ぶという機能の副産物である。東京大学保健センターは、ヘモグロビンを赤血球の中身の大半を占める血色素と位置づけ、色素部分のヘムとタンパク質部分のグロビンが組み合わさった複合体として説明している。鍵を握るのは前者だ。東京大学大学院工学系研究科の解説によれば、ヘムとはポルフィリンという環状の分子の真ん中に鉄原子が一つ収まった化合物であり、これを組み込んだタンパク質は総じて赤みを帯びる。つまり赤いのはヘモグロビンという名前のせいではなく、鉄入りの器を抱えているからだ。ヘモグロビン一分子はこの器を四つ備え、そのそれぞれが酸素分子をつかまえて全身へ届ける。あの赤は、四つの鉄が同時に酸素を待ち構えている構造の、見た目そのものなのである。

仕組みの科学

血が赤い理由をたどると、階層の異なる三つの部品にたどりつく。いちばん外側は赤血球という細胞だ。大阪大学医学部附属病院臨床検査部の解説によれば、血液は心臓・血管系の中を循環する液体であり、赤血球・白血球・血小板などの血球成分と血漿の液体成分で構成されている。そして赤血球は、肺から酸素を受け取り、全身の組織へ供給し、組織が排出した二酸化炭素を肺へ運搬する役割を担う。次の階層がヘモグロビンである。東京大学保健センターは、ヘモグロビンを赤血球中の大部分を占めている血色素と説明し、ヘムという色素とグロビンというタンパク質からできているとする。最も内側の階層がヘムだ。東京大学大学院工学系研究科の解説は、ヘムをポルフィリンと呼ばれる環状平面分子の中心に鉄原子をもつ化合物と定義する。この鉄が酸素分子と結びつく座席になる。同解説によれば、ヘモグロビンは脊椎動物の血液中の赤血球にたくさん含まれるヘムタンパク質で、1分子あたりヘムを4分子結合しており、それらのヘムに酸素分子を結合して全身に酸素を運搬している。細胞、タンパク質、色素部品。三つの入れ子構造の最深部にある鉄が、あの赤を決めているのである。

歴史と発見

血の色の意味は、血を測る技術の発達とともに輪郭を得てきた。現在の医療現場では、色そのものではなく成分の量が数値として扱われる。東京大学保健センターの解説によれば、血液検査では静脈から採血し、抗凝固剤を加えた血液を自動血球計数器にかけて、単位容積あたりの血球数を測定する。ここで測られるのが赤血球数であり、血色素であるヘモグロビン量であり、血液中に占める赤血球の全容積を百分率で表したヘマトクリット値である。大阪大学医学部附属病院臨床検査部も、血球算定として赤血球・白血球・血小板の数およびヘモグロビン量・ヘマトクリット値などの測定を挙げ、さらに赤血球になる一つ前の段階である網赤血球や、赤血球が試験管内を沈んでいく速さをみる赤血球沈降速度といった検査を紹介している。赤い液体は、こうして分解可能な数値の集合として理解されるようになった。分子のレベルの解明はいまも進行中である。東京大学大学院工学系研究科は二〇二一年、ヘム濃度センサータンパク質の作動機序を原子レベルで解明したと発表した。同解説は、鉄は全ての生物にとって必須の金属元素であり、生物体内で種々の重要な反応に関わっていると述べている。

もう一歩先

赤いのはヘモグロビンという物質そのものの性質ではなく、ヘムを抱えたタンパク質に共通する性質である。東京大学大学院工学系研究科の解説は、ヘムを分子中に取り込んで、はじめてその機能が発揮されるタンパク質をヘムタンパク質と呼び、通常、赤色を呈すると述べている。つまりヘムタンパク質は一族であり、ヘモグロビンはその代表選手にすぎない。同解説によれば、ヒトでは呼吸で肺に取り込まれた酸素を末梢組織に運ぶ赤血球の中のヘモグロビンに、鉄がヘムの形で多量に含まれている。ここから、色と機能と元素が一本の線でつながる。鉄という金属を体内で安全に扱うために、生物はポルフィリンという環状の器を用意し、その器ごとタンパク質に組み込んだ。結果として生まれた副産物が、あの赤だったというわけだ。量の感覚もつかんでおきたい。大阪大学医学部附属病院臨床検査部によれば、血液は通常の成人において体重の約8%を占めている。体重が四十キログラムなら、およそ三キログラム強が血液という計算になる。その大半が、酸素の座席をびっしり並べた赤い細胞だ。次にすりむいた傷を見るときは、色ではなく仕事のほうを思い出してほしい。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 血が赤いのは、何が赤いから?
こたえ:赤血球の中のヘモグロビン
東京大学保健センターの解説では、ヘモグロビンは赤血球中の大部分を占めている血色素で、ヘムという色素とグロビンというたんぱく質からできています。この色素のヘムが赤いので、血は赤く見えるのです。
Q2. ヘムの真ん中にある金属はどれ?
こたえ:
東京大学大学院工学系研究科の解説によると、ヘムはポルフィリンと呼ばれる環状平面分子の中心に鉄原子をもつ化合物です。この鉄が酸素をつかまえる座席になり、血の赤い色のもとにもなっています。
Q3. ヘモグロビンが体の中で運んでいるものは?
こたえ:酸素と二酸化炭素
東京大学保健センターによると、赤血球中のヘモグロビンは酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んできて放出します。行きと帰りで別のものを運ぶ、往復便のような仕組みです。

👤 大人のちょっとした雑学

赤いのはヘモグロビンではなくヘムのせい

東京大学大学院工学系研究科によれば、ヘムを分子中に取り込んではじめて機能が発揮されるタンパク質をヘムタンパク質と呼び、通常、赤色を呈する。赤はヘモグロビン固有の性質ではなく、ヘムを抱えた一族に共通する看板なのだ。

1分子に酸素の座席が4つ

同解説はヘモグロビンを、1分子あたりヘムを4分子結合しており、それらのヘムに酸素分子を結合して全身に酸素を運搬しているタンパク質と説明する。四つの鉄が並んだ構造が、効率のよい積み降ろしを支えている。

血液は体重の約8%

大阪大学医学部附属病院臨床検査部によれば、血液は通常の成人において体重の約8%を占めている。体重の一割弱が循環する液体だと考えると、赤血球という運び屋がどれほどの規模で稼働しているかが実感できる。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 人体のふしぎ図鑑(児童向け・血液と心臓編)
    まず血液が細胞成分と液体成分に分かれるという全体像をつかむ段階。赤血球・白血球・血小板の役割分担を先に押さえておくと、分子の話が迷子にならない。
  2. 生理学の入門書(循環と呼吸の章を中心に)
    酸素の運搬を、肺・血液・組織をつなぐ一本の流れとして理解する。ヘモグロビンの酸素解離曲線という考え方に出会えるのがこの段階だ。
  3. 生化学の標準教科書(タンパク質の構造と機能)
    ヘムとグロビンの複合体という構造を、アロステリック効果の教科書的事例として学ぶ。四つのサブユニットが協調する意味がここで腑に落ちる。
  4. 生物無機化学の専門書
    鉄という金属元素を生体がどう扱うかという視点に立つ。ポルフィリン環という器の役割と、金属タンパク質全体の設計思想が見えてくる。

さらに進む方向

  • ヘモグロビンの酸素解離曲線とボーア効果を、運動生理学の実測データと照らして読み解く
  • ミオグロビンやシトクロムなど他のヘムタンパク質の機能を比較し、ヘムの多用途性を整理する
  • 生体内の鉄輸送・貯蔵に関わるタンパク質群の総説をたどり、金属恒常性の枠組みをつかむ
  • X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡による構造決定の手法史を追いかける
  • 無脊椎動物の呼吸色素との比較から、酸素運搬分子の進化的多様性を調べる

もっと詳しく:しくみのながれ

  1. STEP 1
    肺で酸素を取り込む
  2. STEP 2
    赤血球の中のヘモグロビンが受け取る
  3. STEP 3
    ヘムの中心の鉄に酸素が結合する
  4. STEP 4
    血流に乗って全身の組織へ運ばれる
  5. STEP 5
    組織へ酸素をわたす
  6. STEP 6
    かわりに二酸化炭素を受け取る
  7. STEP 7
    肺へもどして二酸化炭素を放出する

ことばのメモ

赤血球
酸素を運ぶ赤い血の細胞
ヘモグロビン
赤血球にある赤い血色素
ヘム
中心に鉄をもつ赤い色素
血漿
血の液体の部分
ヘムタンパク質
ヘムを取り込んだたんぱく質

よくある質問

血の赤い色はどこから来ているの?
赤血球の中のヘモグロビンです。東京大学保健センターによると、ヘモグロビンはヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。
ヘムってどんなもの?
東京大学大学院工学系研究科の解説では、ヘムはポルフィリンと呼ばれる環状平面分子の中心に鉄原子をもつ化合物だと定義されています。
ヘモグロビンはいくつ酸素を運べるの?
同解説によれば、ヘモグロビンは1分子あたりヘムを4分子結合しており、それらのヘムに酸素分子を結合して全身に酸素を運搬しています。
赤血球はどんな仕事をしているの?
大阪大学医学部附属病院臨床検査部によると、赤血球は肺から酸素を受け取り全身の組織へ供給し、組織が排出した二酸化炭素を肺へ運搬します。
血は体にどれくらいあるの?
大阪大学医学部附属病院臨床検査部の解説では、血液は通常の成人において体重の約8%を占めているとされています。思ったより多い量です。

学びのタネ

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家でできること

  • 自分の体重の約8%を計算して、体の中をめぐる血液のおおよその重さを書き出してみよう。
  • 十円玉の銅と、ヘムの鉄。金属の色のちがいを図鑑で調べて絵にまとめてみよう。
  • 息を大きく吸ってから走ってみて、酸素を運ぶ仕組みが働く速さを体で感じてみよう。

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出典・参考文献

  1. 東京大学 保健センター血液検査(血球検査) 参照 2026-08-29
  2. 東京大学大学院工学系研究科ヘム濃度センサータンパク質の作動機序を原子レベルで解明 参照 2026-08-29
  3. 大阪大学医学部附属病院 臨床検査部血液検査部門 血液検査室 参照 2026-08-29

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