図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
「申します」を丁寧に重ねて短くした、電話のあいさつ言葉だから。
でんわをかけたとき、日本では「もしもし」と言うことが多いですね。この「もしもし」は、じつは「申します、申します」ということばが短くなったものだと考えられています。
「もし」は「申す(もうす)」という、ていねいに「言う」ことを表すことばの一部です。それを2回かさねて「申し、申し」と言うことで、「これからお話ししますよ」という、ていねいな合図になっていました。
明治23年(1890年)、日本ではじめて電話のサービスが東京と横浜のあいだで始まりました。国立国会図書館にのこる記録によると、アメリカへ調べものに行った人が、英語の「ハロー」に代わることばとして「もしもし」を思いついた、という話ものこっています。
このころ、電話をつなぐ「交換手」という仕事の人たちが、電話がつながるたびにていねいなことばで呼びかけていました。その中で「もしもし」ということばが広まり、いまでは日本中で使われるあいさつになったのです。100年以上前から使われてきたことばが、今日もあなたの電話の中で生きているのですね。
「もしもし」は、へりくだって「言う」ことを表す『申す』の連用形『申し』を2回かさねた言い方が短くなったものだ。国立国会図書館のレファレンス協同データベースによれば、1890年(明治23年)に東京・横浜間で日本初の電話交換業務が始まったころ、アメリカへ調査に赴いた人物が英語の『ハロー』に代わる呼びかけとして考え出したという説が伝わっている。当時、電話をつなぐ交換手たちは、通話をつなぐたびに『これから申し上げます』という意味で丁重なことばを重ねて使っていたと考えられ、その丁寧な言いまわしがやがて日常語として定着したとされる。国立国語研究所の資料では、電話の受け答えだけでなく、道で人に注意をうながす呼びかけとしても使われる用法が紹介されている。130年以上前に生まれたことばが、いまも受話器の向こうで生き続けているわけだ。
仕組みの科学
「もしもし」の背景には、日本語によく見られる『畳語(じょうご)』——同じことばを2回重ねて使う言い方——のしくみがある。『申す』はへりくだって『言う』ことを表すことばで、その連用形『申し』を単独で使うよりも、2回かさねる『申し申し』のほうが、あらたまった場での呼びかけとしてより丁寧に響く。日本語には『毎度毎度』『くれぐれも』のように、丁寧さや念をおす気持ちを強めるために同じ語をかさねる表現がいくつもあり、『申し申し』もそうした畳語のひとつとして生まれたと考えられている。長い『申し申し』が日常的に使われるうちに、発音がしやすい形へと少しずつ変わり、『もしもし』という今の形に落ちついた。決まり文句として毎日くり返し使われることばほど、こうした音の変化が起きやすいことは、国立国語研究所が紹介する日本語の他の挨拶語にも共通して見られる特徴だ。あらたまった手紙の書き出しに使われる『前略』や、時代劇でおなじみの『たのもう』なども、場の空気を整えるための決まった呼びかけとして機能してきた。『もしもし』もこうした系譜に連なることばのひとつだと考えられる。
歴史と発見
日本で電話サービスが始まったのは明治23年(1890年)12月、東京・横浜間でのことだった。当時の電話は自動で相手につながるものではなく、電話局にいる『電話交換手』が一本一本ケーブルをつなぎかえて相手の電話へ接続する仕組みだった。電話交換手には主に若い女性が採用され、当時としてはめずらしい女性の専門的な仕事として知られていた。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに残る記録には、電話が開通したばかりのころ、アメリカへ調査に出向いた人物が、英語の『ハロー』に代わることばとして『もしもし』を考え出した、という説が紹介されている。同時に、電話をつなぐ交換手たちが『これから申し上げます』という意味の『申し、申し』を使い始め、それが少しずつ『もしもし』に変わっていったとも伝えられている。どちらの説が確定した由来かは学術的にも決着しておらず、複数の説が今も並んで語り継がれている。現在ではスマートフォンの画面に発信者の名前が表示されるため、電話に出るときに『もしもし』を使わずに話し始める人も増えている。時代とともに電話のかけ方や名乗り方の習慣も少しずつ変わってきているのだ。
もう一歩先
『もしもし』は電話だけのことばではない。国立国語研究所の資料では、道を歩く人に注意をうながすときの呼びかけとしても使われることが紹介されていて、『もしもしお客様、おつりをお忘れですよ』のような使い方がその例だ。もともとは、知らない相手にあらたまって声をかけるときの、ややかたく丁寧な表現だったことがうかがえる。
こうした『決まった場面で使う呼びかけのことば』は、時代とともに形をかえていきやすい。国や地域がちがえば、電話の受け答えのことばもさまざまで、英語では『Hello』、韓国語では『ヨボセヨ』が使われている。それぞれのことばの成り立ちを調べていくと、その国の暮らしや歴史とのつながりが見えてくる。自由研究のテーマとして、家族や友だちに電話の受け答えのしかたを聞き取り調査してみるのもおもしろい。世代によって『もしもし』を使う頻度や、電話に出るときの第一声がどう違うのかを比べてみると、ことばが少しずつ変化していくようすを身近に感じられるはずだ。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 「もしもし」は、もともとどんなことばが短くなったと考えられている?
Q2. 日本で電話サービスが始まったのはいつごろ?
本文で紹介したとおり、1890年(明治23年)に東京と横浜のあいだで、日本ではじめて電話交換のサービスが始まったんだよ。
Q3. 電話が開通したころ、電話をつなぐ仕事をしていた人たちを何と呼んだ?
本文にあるとおり、電話をつなぐ仕事をしていた人たちは「電話交換手」と呼ばれ、電話がつながるとていねいなことばで呼びかけていたんだよ。
👤 大人のちょっとした雑学
「もしもし」はアメリカ帰りのアイデアだった?
国立国会図書館の記録には、電話開通のころにアメリカへ調査へ行った人物が、英語の「ハロー」に代わることばとして「もしもし」を考え出した、という説が残っている。交換手の呼びかけ起源説と並ぶ、もうひとつの由来説だ。
電話交換手はかつての花形職業
電話交換手には主に若い女性が採用され、当時としてはめずらしい女性の専門的な仕事として知られていた。電話をつなぐたびに、ていねいなことばづかいが求められていたと考えられている。
「もしもし」は道ばたでも使われることば
国立国語研究所の資料では、「もしもしお客様、おつりをお忘れですよ」のように、電話以外の場面で人に注意をうながす呼びかけとしても使われる用法が紹介されている。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- くらべる100年「もの」がたり4 町の道具と乗り物
明治から現代にかけて電話などの道具がどう変わってきたかを写真と図で見て、時代のイメージをつかめる。 - 日本語源辞典
「もしもし」を含む日本語のことばの語源を、辞典形式でひとつずつ調べられる。 - 語源海
日本語研究の集大成的な語源辞典で、ことばの変化をより専門的に掘り下げられる。
さらに進む方向
もっと詳しく:歴史と時系列
- 1890年(明治23年)12月東京・横浜間で日本初の電話交換業務が始まる
- 明治時代電話交換手による呼びかけや「もしもし」が広まり始めたとされる
- 現代「もしもし」が電話の日常あいさつとして定着している
ことばのメモ
- 申す
- へりくだって言うことを表す古いことば
- 畳語
- 同じことばを2回かさねて言う言い方
- 電話交換手
- むかし、電話をつなぐ仕事をしていた人
- 明治時代
- 1868年から1912年ごろの日本の時代
- レファレンス協同データベース
- 図書館の調べもの記録を集めたもの
よくある質問
「もしもし」は世界共通のことばなの?
「もしもし」を思いついたのはだれなの?
電話交換手はいつごろまであった仕事なの?
「もしもし」は電話以外でも使うの?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 家族や友だちに電話をかけるとき、最初のあいさつがどう変わってきたか話し合ってみよう。
- 「もしもし」以外の国の電話でのあいさつことばを調べて、由来をくらべてみよう。
おとな向けに:新書・実用書
とことん深く:専門書・古典
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出典・参考文献
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース電話をかける時の、「もしもし」という言葉の由来について知りたい。 参照 2026-07-14
- 国立国語研究所もしもし 参照 2026-07-14
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
本文にあるとおり、「もしもし」は「申します、申します」という、ていねいに「言う」ことを表す「申し」を2回かさねたことばが短くなったと考えられているよ。