図解
図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)
義務教育の教科書は国がお金を出して配ると法律で決まっているから。
四月に新しい教科書をもらうとき、お金をはらった記憶はないよね。じつは小学校と中学校の教科書は、国がお金を出して配ることが法律で決められているんだ。
この仕組みのもとには、日本国憲法の26条という決まりがある。義務教育はただにする、という考え方だよ。文部科学省は、教科書を無料で配る制度を「憲法26条にかかげる義務教育無償の精神をより広く実現するもの」だと説明している。
配りはじめたのは1963年。まず小学校1年生から始まって、少しずつ学年を広げていき、1969年に小学校と中学校の全学年でそろったんだ。国が本を買って学校に届け、学校から一人ひとりに手渡される。公立でも私立でも、義務教育ならおなじだよ。
ただし、ただになるのは義務教育の間だけ。高校の教科書は自分で買うことになっている。使い終わった教科書を返さなくていいのも、かしてもらったのではなく、きみのものとして受けとっているからなんだ。線を引いても書きこんでも大丈夫。当たり前に見えるあの一冊も、だれかが決めてくれた約束の上にあるんだね。
教科書無償の根拠は二つの法律にある。ひとつは昭和37年に公布された義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律、もうひとつは昭和38年12月に公布された無償措置に関する法律だ。文部科学省の解説によれば、対象は国・公・私立の義務教育諸学校の全児童生徒であり、その使用する全教科の教科書が含まれる。仕組みとしては、文部科学大臣が採択された教科書について発行者と購入契約を結び、国から学校の設置者へ無償で給付される。設置者が取扱書店に納入を指示し、各学校を通じて児童生徒へ給与される流れだ。貸与ではなく給与であるため、使い終えた教科書を返却する必要はない。制度は昭和38年度に小学校第1学年から始まり、学年進行方式で対象を広げて昭和44年度に完成した。
仕組みの科学
教科書が手元に届くまでには、いくつもの主体が関わる流れが設計されている。文部科学省の解説によれば、まず採択された教科書について文部科学大臣が発行者と購入契約を締結する。購入された教科書は国から学校の設置者へ無償で給付され、設置者は教科書取扱書店に納入を指示する。そして各学校を通じて児童生徒へ給与される。ここで使われている給与という語は重要で、貸与とは異なり返却を前提としない。書き込みをしても線を引いても構わないのは、その一冊が児童生徒本人のものになるからだ。対象は国立・公立・私立の別を問わず、義務教育諸学校に在籍する全児童生徒であり、使用する全教科の教科書が含まれる。学校の設置者が誰であるかにかかわらず同じ扱いになる点が、この制度の設計思想を表している。無償化の範囲を教材全般ではなく教科書に絞ったことも、制度を持続させるうえでの現実的な線引きだった。副教材やドリルが各家庭の負担として残るのはこのためで、無償という言葉が指す範囲は意外と限定されている。制度を正確に理解するには、何が含まれ何が含まれないかを押さえておく必要がある。
歴史と発見
無償給与制度は二段階の立法によって形づくられた。最初に昭和37年3月31日、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律が公布され、同年4月1日に施行される。続いて昭和38年12月21日、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律が公布・施行された。前者が無償という原則を掲げ、後者が採択や給与の具体的な手続きを定める役割を担っている。実際の配布は昭和38年度に小学校第1学年から始まった。翌年度以降は学年進行方式で対象が一学年ずつ広がり、昭和44年度に小学校と中学校の全学年で無償給与が完成する。開始から完成まで七年をかけた段階的な導入であり、予算規模を見ながら着実に範囲を拡大していったことがうかがえる。文部科学省はこの制度を、憲法第26条に掲げる義務教育無償の精神をより広く実現するものと位置づけている。憲法の理念を具体的な財政措置として翻訳した事例といえる。理念を掲げるだけでは教科書は届かず、購入・給付・配送を担う実務の設計があってはじめて子どもの机の上に一冊が置かれる。段階的な導入という選択は、その実務を回しながら制度を育てるための現実的な判断でもあった。
もう一歩先
無償の対象は義務教育に限られる。高等学校の教科書は原則として自己負担であり、小中学校とは扱いが異なる。この線引きは、義務教育無償という憲法上の理念がどこまで及ぶかという議論と直結している。また教科書が手元に届くまでには、無償給与とは別に検定と採択という工程がある。民間の発行者が編集した図書を国が検定し、合格したもののなかから採択が行われ、その結果を受けて購入契約が結ばれる。無償制度はこの流れの最終段階に位置しており、どの教科書を使うかを決める仕組みとは役割が分かれている。毎年春に配られる一冊の背後には、立法・検定・採択・調達・配送という長い連なりがある。当たり前に受け取ってきたものが、いつ誰の判断で始まったのかをたどることは、制度を自分ごととして考える入口になる。学校で配られるものの多くには、こうした来歴が隠れている。教科書という言葉ひとつをとっても、それが検定を経た図書を指すのか、授業で使う教材全般を指すのかで話は変わる。制度の議論では、この語の範囲を確かめるところから始めると誤解が減る。
🌱 ためしてみよう!3択クイズ
本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。
Q1. 小中学校の教科書が無料なのはどうして?
Q2. 教科書を無料で配りはじめたのはいつ?
昭和38年度に小学校1年生から始まりました。そこから一学年ずつ広げていき、昭和44年度に小学校と中学校の全学年でそろいました。
Q3. 使い終わった教科書はどうする?
制度のうえでは貸与ではなく給与とされているので、返す必要はありません。だから線を引いたり書き込んだりしても大丈夫です。
👤 大人のちょっとした雑学
二つの法律で成り立っている
昭和37年公布の「無償に関する法律」が原則を掲げ、昭和38年公布の「無償措置に関する法律」が採択や給与の手続きを定める。理念法と手続法を分けた構成が、制度の安定運用を支えている。
完成までに七年かけた
昭和38年度に小学校第1学年で始まり、学年進行方式で毎年対象を広げ、昭和44年度に小中全学年で完成した。一挙に全面実施せず、財政負担を見ながら段階的に拡大した設計だった。
貸与ではなく給与
制度上の用語は給与であり、児童生徒に所有が移る。返却を前提とする貸与方式を採る国もあるなかで、書き込み自由の個人所有を選んだ点は日本の教科書制度の特徴といえる。
🔬 とことん深掘り:読書ガイド
読み順ガイド(やさしい→専門)
- 文部科学省「教科書制度の概要」(公式解説)
検定・採択・無償給与という三工程の全体像を最短で把握できる。制度用語の定義を先に押さえると、以降の資料が読みやすい。 - 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(条文)
採択地区や給与の手続きが条文としてどう書かれているかを直接読む。解説と原文の距離を体感できる。 - 教育制度史の概説書
戦後教育改革のなかで無償化がどう位置づけられたかを通史で追える。憲法26条の理念が財政措置に落ちる過程が見える。 - 教育行財政の研究書
国庫負担の規模や予算配分の観点から制度を分析する。理念だけでなく費用の側面から制度を評価する視点が得られる。
さらに進む方向
もっと詳しく:歴史と時系列
- 1947年日本国憲法第26条が義務教育の無償を定める
- 昭和37年(1962年)教科用図書の無償に関する法律が公布・施行される
- 昭和38年(1963年)無償措置に関する法律が公布され、小学校第1学年で実施が始まる
- 昭和39年度以降学年進行方式で対象学年が一年ずつ広がる
- 昭和44年度(1969年度)小・中学校の全学年で無償給与が完成する
ことばのメモ
- 義務教育
- 小学校と中学校の教育
- 無償給与
- 国が買って無料で配ること
- 憲法26条
- 教育を受ける権利の条文
- 採択
- 使う教科書を選ぶこと
- 学年進行方式
- 一学年ずつ広げるやり方
よくある質問
私立の学校でも教科書はタダなの?
使い終わった教科書は返すの?
高校の教科書もタダになるの?
いつからこの制度は始まったの?
学びのタネ
この問いに関連する本・実験・サービスのご紹介です。
家でできること
- 手元の教科書の奥付を開いて、発行者名と検定・発行の年を確かめてみよう
- 家の人に、子どものころ教科書が無償だったかどうかを聞いて年代と照らし合わせてみよう
おとな向けに:新書・実用書
とことん深く:専門書・古典
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出典・参考文献
- 文部科学省12.教科書無償給与制度 参照 2026-07-28
- 文部科学省教科書制度の概要 参照 2026-07-28
- 文部科学省教科書 参照 2026-07-28
出典・正確性ポリシー:詳しく読む
文部科学省の説明によると、国が教科書を購入して学校の設置者へ無償で給付し、学校を通じて一人ひとりに配られます。国・公・私立のどれでも、義務教育なら同じ扱いです。