台風はどうして日本にやってくるの?

公開:2026-08-04 更新:2026-08-04 読了 約7分

図解

1 発生直後(低緯度) 東風に流されて西へ進む 2 北上期 太平洋高気圧のふちを吹く風にそって北上 3 中緯度 偏西風に流されて北東へ進む 4 春先 低緯度で発生し西進してフィリピン方面へ 5 発生緯度が高くなり日本へ北上する台風が増える 6 8月 流す上空の風が弱く不安定な経路をとりやすい

図解:問いを6ステップで読みとく流れ(自動生成)

太平洋高気圧のふちを回る風に流されて北上するから。

夏から秋にかけて、台風たいふうのニュースをよく見ますね。台風は南のあたたかい海で生まれます。それなのに、どうして日本まで来るのでしょう。

気象庁きしょうちょうによると、台風はほとんど上空の風に流されて動きます。自分で行き先を決めているわけではないのです。

台風が生まれるあたりでは、東からの風がふいています。そのため台風は、はじめは西へ進みます。

つぎに、太平洋たいへいよう高気圧こうきあつという大きな高気圧のふちにそって、北へ向かいます。この高気圧は、夏になると日本の南に大きく広がります。

日本の上空には、偏西風へんせいふうとよばれる強い風が西から東へふいています。ここまで来た台風は、その風に流されて北東へ進みます。

つまり台風は、東の風、高気圧のまわりの風、偏西風と、三つの風にバトンをわたされるように運ばれてくるのです。

春先の台風は、低いところで生まれて西へ進み、フィリピンのほうへ向かいます。夏になると生まれる場所が北へ動くので、日本に向かう台風がふえます。

台風のニュースが夏から秋にふえるのは、風の道がちょうど日本のほうを向く季節きせつだからなのですね。

台風が日本に来るのは、日本を目指しているからではない。渦それ自体に推進装置はなく、気象庁の説明どおり上空の風に流されて動くだけである。生まれた海域で吹くのは東寄りの風だから、まずは西へ。やがて太平洋高気圧の外周に沿って向きを北へ変え、中緯度に届くと今度は偏西風に捕まって北東へ走り出す。自転に由来する北向きの力も働くが、これは上空の風が弱い場面を除けば脇役にすぎない。行き先を書いているのは台風ではなく、その月の気圧配置なのだ。だから経路にも季節の顔が出る。春は低い緯度で生まれ、西進してフィリピン方面へ抜ける。夏は生まれる緯度が上がり、高気圧の縁を回って日本を指す個体が増える。秋口からは南の海上を起点に、大きな弧を描いて列島をかすめる形が定番だ。数のうえでも偏りは大きい。平年で年に約25個が発生するのに対し、300キロメートル以内まで近づくのは約12個、上陸まで至るのは約3個にとどまる。

仕組みの科学

台風の進路を考えるとき、最初に押さえるべきは移動の主因である。気象庁の解説によれば、台風はほとんど上空の風に流されて動くと考えてよい。台風という巨大な渦は、それ自体が推進装置を持っているわけではなく、周囲の大気の流れに乗って運ばれる存在である。したがって進路を読むことは、その海域と季節にどんな風が吹いているかを読むことに等しい。流れは三段構えになっている。第一に、台風が多く発生する領域では東風が吹いているため、台風は始め東風に流されて西へ進む。第二に、その後は太平洋高気圧のふちを吹く風にそって北上する。第三に、中緯度まで達すると偏西風に流されて北東へ進むことが多くなる。気象庁は、日本付近の上空には偏西風と呼ばれる強い風が西から東に向かって吹いていると説明している。一方で台風は熱帯地方で発生するため、発生の段階では偏西風の影響を受けることなく、太平洋高気圧のまわりを流れる風の影響を受けて南の方から日本付近にやってくる。台風自身の力がまったく効かないわけではない。地球の自転の影響で自分自身でも北へ進む力を持っているが、この力は上空の風が弱いときを除いて主要な力ではないとされる。発生の条件も海にある。西部太平洋熱帯域では、海面水温が28度を超える高いところで発生が多い。

歴史と発見

台風の経路は一本ではなく、月ごとに傾向が変わる。この季節性は、長年の観測を積み上げた統計から見えてきたものである。気象庁は平年値として30年間の平均を用いており、1991年から2020年の平均では、年間で約25個の台風が発生し、約12個の台風が日本から300キロメートル以内に接近し、約3個が日本に上陸している。発生数と接近数と上陸数がこれだけ違うのは、多くの台風が日本に届かない経路をたどるからにほかならない。季節による違いは明快である。春先は低緯度で発生し、西に進んでフィリピン方面に向かう。ところが夏になると発生する緯度が高くなり、太平洋高気圧のまわりを回って日本に向かって北上する台風が多くなる。さらに9月以降になると、南海上から放物線を描くように日本付近を通るようになる。同じ日本という国に対して、春と夏と秋ではまったく別の関係が結ばれているわけだ。高気圧の張り出し方の変化も効いている。7月に比べて太平洋高気圧の西への張り出しが弱まる8月から9月にかけては、台風は高気圧の縁に位置する沖縄付近で速度が弱まって転向しやすくなる。実際、8月から9月は台風発生数と沖縄県への接近数が1年の中で最も多い時期である。統計は、経路が偶然ではなく季節の気圧配置に従っていることを示している。

もう一歩先

経路のしくみを知ると、防災情報の読み方が変わってくる。まず、進路予想の難しさには季節差がある。気象庁の解説によれば、8月は台風を流す上空の風がまだ弱いために、台風は不安定な経路をとることが多い。流す風が弱ければ、台風自身の弱い北向きの力や周囲のわずかな気圧の変化が相対的に効いてしまう。8月の台風が予想を裏切りやすいのは、動かす力が弱いことの裏返しなのである。次に、9月の経路には別の注意が要る。9月以降は南海上から放物線を描いて日本付近を通るようになるが、気象庁は、過去の大災害をもたらした台風は9月にこの経路をとっていると述べている。上陸のしやすさと勢力の強さが重なりやすい時期だといえる。速度の変化も見落とせない。沖縄付近では、高気圧の縁で速度が弱まって転向しやすくなるため、最盛期の台風が通過し、数日間にわたって影響を受けることがある。ところが本州付近に進んだ台風は、偏西風の影響で速度を上げて北東に進み、衰弱期を迎えて温帯低気圧に変わる。同じ台風でも、沖縄では長く居座り、本州では速く走り抜ける傾向がある。予報円の大きさや進行速度を見るとき、その台風が今どの風に乗っているのかを重ねて考えると、情報の意味がぐっと立体的になる。

🌱 ためしてみよう!3択クイズ

本文をよんでこたえてみよう。タップでせいかいがでるよ。

Q1. 台風を動かしているのは何でしょう?
こたえ:まわりの空の風
気象庁によると、台風はほとんど上空の風に流されて動くと考えてよいとされています。台風は自分で行き先を決めているのではなく、まわりにふいている風に運ばれているのです。
Q2. 生まれたばかりの台風がまず進む向きは?
こたえ:西
台風がたくさん生まれるあたりでは、東からの風がふいています。そのため台風は、はじめのうちは東風に流されて西へ進みます。そのあとで高気圧のふちにそって北へ向かいます。
Q3. 日本の上空で台風を北東へ流す風の名前は?
こたえ:偏西風
日本付近の上空には、偏西風とよばれる強い風が西から東に向かってふいています。中くらいの緯度まで来た台風は、この風に流されて北東へ進むことが多くなります。

👤 大人のちょっとした雑学

台風は「乗り換え」でやってくる

東風で西へ、太平洋高気圧のふちの風で北へ、偏西風で北東へ。台風は三つの流れを乗り継いで日本に届く。進路が季節で変わるのは、乗る風が入れ替わるからだ。

8月の予報が難しい理由

気象庁は、8月は台風を流す上空の風がまだ弱いため不安定な経路をとることが多いと説明する。動かす力が弱い時期ほど、進路は読みにくくなる。

沖縄では居座り、本州では走る

高気圧の縁にあたる沖縄付近では速度が弱まって転向しやすく、数日間影響が続くことがある。一方、本州付近では偏西風で加速し、やがて温帯低気圧に変わる。

🔬 とことん深掘り:読書ガイド

読み順ガイド(やさしい→専門)

  1. 気象庁「台風の発生、接近、上陸、経路」(ウェブ資料)
    平年値と季節別の経路傾向が一枚で押さえられる。統計の定義を先に知ると、以降の議論の前提がぶれない。
  2. 気象庁「コラム③台風の発生と沖縄への接近について」(ウェブ資料)
    高気圧の張り出しと転向の関係を地域に即して説明している。一般論を具体的な海域に落とす段階に適する。
  3. 総観気象学・熱帯気象学の大学教科書(熱帯低気圧の章)
    移流と自己移動、渦位の考え方を体系的に扱う段階。ウェブ資料が省略した力学の枠組みが見えてくる。
  4. 数値予報・アンサンブル予報の専門書
    進路予想の不確実性がどう定量化されるかを扱う分野。予報円の意味を原理から捉え直せる。

さらに進む方向

  • 太平洋高気圧の張り出し指数と台風経路の相関を、年ごとの統計資料で確かめる
  • 自己移動(ベータ効果)が経路に効く条件を、上空の風の強さと合わせて整理する
  • 接近数・上陸数の平年値が平年値更新のたびにどう変化してきたかを追う

もっと詳しく:歴史と時系列

  1. 発生直後(低緯度)
    東風に流されて西へ進む
  2. 北上期
    太平洋高気圧のふちを吹く風にそって北上
  3. 中緯度
    偏西風に流されて北東へ進む
  4. 春先
    低緯度で発生し西進してフィリピン方面へ
  5. 発生緯度が高くなり日本へ北上する台風が増える
  6. 8月
    流す上空の風が弱く不安定な経路をとりやすい
  7. 9月以降
    南海上から放物線を描いて日本付近を通る
  8. 本州付近
    偏西風で加速し温帯低気圧に変わる

ことばのメモ

太平洋高気圧
夏に日本の南へ広がる高気圧
偏西風
西から東へふく上空の強い風
東風
熱帯の海の上でふく東からの風
転向
台風が進む向きを変えること
温帯低気圧
台風が衰えて変わる低気圧

よくある質問

台風は自分で日本を目指しているの?
いいえ。気象庁によると、台風はほとんど上空の風に流されて動くと考えてよいとされます。進路を決めているのは周囲の気圧配置のほうです。
どうして最初は西へ進むの?
台風が多く発生する領域では東風が吹いているためです。その後は太平洋高気圧のふちを吹く風にそって北上し、偏西風に流されて北東へ進みます。
1年に何個くらい日本に近づくの?
1991年から2020年の30年平均では、年間で約25個が発生し、約12個が日本から300キロメートル以内に接近、約3個が上陸しています。
8月の台風は進路が読みにくいと聞くけれど?
気象庁は、8月は台風を流す上空の風がまだ弱いために、台風は不安定な経路をとることが多いと説明しています。動かす力が弱いぶん、進路が定まりにくくなるのです。
9月の台風が警戒されるのはなぜ?
9月以降は南海上から放物線を描くように日本付近を通り、過去の大災害をもたらした台風は9月にこの経路をとっているとされるためです。

学びのタネ

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家でできること

  • 台風が近づいた日の天気図を数日ぶん集めて、太平洋高気圧のふちと進路の位置を重ねて見てみよう
  • 気象庁の台風情報で予報円の大きさが日ごとにどう変わるかを記録し、進む速さと見くらべてみよう

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出典・参考文献

  1. 気象庁台風の発生、接近、上陸、経路 参照 2026-08-04
  2. 気象庁(はれるんランド)台風はなぜ南からやってくるのですか? 参照 2026-08-04
  3. 気象庁(はれるんランド)台風を動かすのは何? 参照 2026-08-04
  4. 気象庁コラム③台風の発生と沖縄への接近について 参照 2026-08-04

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